二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 ———刹那の契り——— ( No.278 )
- 日時: 2013/03/10 19:24
- 名前: 亜鶴 (ID: V9P9JhRA)
第二十三話 「気恥ずかしい」
朝、。
(情けないな…。不満を関係ない人に、ぶつけて何になるって言うんだろう)
(沖田さん…すごく驚いてたよね)
そんなことを思いながら、洗濯物を干していた。
澄み渡る空を見上げ、ぼーっと立ち尽くす琴音。
(沖田さんに謝らないと…)
その時だった。
「琴音!」
背後から声をかけられたのと同時に、頭の上にポン!と箱のような物が乗せられた。
「あ、平助くん」
琴音がそう呼ぶと、嬉しそうに平助ははにかんだ。
それにつられ、琴音もはにかむ。
(なんか…平助くんのこの笑顔を見ると、気が少し楽になる)
心の重荷を下ろして、無邪気に微笑む琴音。
「ところで、平助くん。これは何?」
今だ頭の上に乗せられた物を指し示して、興味津々に訊ねる。
「土産の団子!一緒に食わねぇ?」
そのお誘いに琴音の目がきらきら輝いた。
「お、お団子!? ……あ〜でも。食べたいけど、今、洗濯物干してる途中だからなー…」
ふぅーと琴音は気が重そうに溜息した。
「一休みくらい良いじゃん!ちゃんと休憩とらないと、体持たねぇぞ。ほらほら」
平助はそう言って、強制的に物干し竿から離れさせようと琴音の背をぐいぐい押した。
「少しだけなら、いいよね」
琴音は平助の好意に負け、苦笑いでそう呟く。
二人は縁側に腰をかける。
「はい!琴音」
平助は箱から三色団子を取り出し、琴音に手渡しする。
それを受け取ると、琴音は礼を言う。
「じゃあ、いただきます」
口へ団子を運ぼうとしたその瞬間。
「二人だけで団子食べるなんて、ずるいなー」
いきなりのあの人の声が耳に届き、ヒャっと驚いてしまう二人。
琴音は平助よりヒヤヒヤ驚いていた。
声の主は右方面の庭に立っていて、その隣に斎藤も立っていた。
「総司に、一くん…」
平助はこの二人に見つかってしまったことに、残念がっていた。
「せっかく琴音と二人っきりだったのに…」
そんな平助のボソボソ呟きはここにいる三人には聞こえることはなかった。
そんな中、琴音は赤面で、焦っていた。
(沖田さんーキタ—(゜∀゜≡゜Д゜)ムハァ—!!。どうしましょう)
昨夜のことをとても意識してしまって、気恥ずかしくなって、顔を逸らす琴音。
「それじゃあ、団子いただこうかな」
(更新再開)
「橘?俯いて、どうした?」
ここでやっと琴音の状態に気がついた斎藤が彼女に問う。
琴音はハっと顔を上げると、三人の視線がじーっと自分に集中していたことに焦っていた。
斎藤と平助の視線には耐えられる自信はあったが、沖田からの視線は耐えられなかった。
「……」
冷や汗が、いやに頬を伝う。
(答えなきゃ、変に思われる…!なんか一言でもいいから、言わないっと)
「あ、あの!」
はっきりとした声で切り出す。
「どうした、橘」
三人は何だ何だと興味津々に 視線を向けた。
妙に真剣な空気が漂う。
「………っ、私」
真剣な空気が緊張させる。
ぐいっと唾を飲み込む。
(大丈夫だ、私)
「私、お茶淹れてきます!」
「「「……」」」
琴音の唐突宣言に、三人はどう反応していいのか分からず、固まっていた。
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「はぁ…」
耐えられず、お茶を淹れてくるという手を使って、炊事場に逃げてきた琴音。
卑怯な自分を呆れて、溜息しか出ない。
「もぅ、嫌…」
「意識し過ぎなんだよ。あれは単なる…事故だった!そうだよ、私っ」
「んー」
「素直に謝れば…いいことじゃないか、私」
独り言を言いながら、仕方なく、茶葉を四つの湯のみに入れる。
『君って、独り言激しいね』
またもや、唐突にあの人の声が耳に届くと———、異常な程、ヒヤッと驚いてしまう琴音。
恐る恐る後ろを向く。
「沖田さん…」
出入り口にその人は立っていた。
「どうしたの?幽霊でも見たような顔しちゃって」
(この人にとって、昨日のことはどうでもいいことなんでしょうね)
あははと笑う沖田のそんな態度を見て、琴音はそう思った。
いつもと変わりなく、接してくれるのはともて嬉しくって、安心してしまったのと同時に———、
心の奥底ではがっかりしていた。
自分でもそう思ったのは意外だった。
「……」
黙って下を向く琴音。
それをじーっと見つめる沖田。
気まずい空気が流れる。
「琴音ちゃん、ずっと気になってたんだけど…何か僕のこと避けてる?」
「ごめんなさい…」
沖田の問いに肯定し、頭を下げる。
「顔上げなよ」
その言葉は優しさから来るものだった。
しかし琴音は顔を上げない。
いつもいつも、人の好意に負け、すぐに甘えてしまう自分にうんざりしていた。
自分の意思を貫けない、そんな自分がもぅ嫌でしょうがなかった。
だから、まだここでは顔を上げらないんだ。
「ごめんなさい…」
「…琴音ちゃん」
顔を上げようとせず、謝罪の言葉を口にするそんな琴音を沖田はただ見ていることしかできなかった。
「どうして、僕を避けるの?やっぱり昨日のこと?」
「はい…」
コクリと頷く琴音。
「その…、昨日は真上で泣いて、挙句には…不満をぶつけてしまって、本当に申し訳ありません。とても驚かしてしまいましたよね…ごめんなさい」
「別に、そんなに気にしてないから大丈夫だよ?けど、避けられたことでは少し傷ついたかな」
苦笑いでそう言う沖田。
「沖田さんを傷つけようとは思わなかった。……弱い自分を見られて、情けなくってしょうがないんです。いつもの私はただ強がってるだけなんです」
「沖田さんの目に映っている自分に、自信がなくって…自分自身から逃げていたんです」
次々と今の気持ちを苦しそうに吐く琴音。
今にも泣きそうで、鼻声だった。
「琴音ちゃんは考え過ぎなんだよ。誰だって弱みの一つくらいあるよ。僕だって…」
「沖田さんにもあるんですか?」
沖田の意外な言葉に、興味を示したのか、顔を上げた琴音。
「あるよ。弱みはある意味、必要だと思うな。そこからまた立ち直って、強くなればいいことだし」
(何、言ってるのかな…僕)
自分の言ってることに、心の中で笑ってしまう沖田。
けど、彼女は真剣に沖田を見て、必死に話を聞こうとしていた。
「弱みとそれを受け入れられる強さを持ってこそ、強くなれるんだよ。だからそんな…考え込まなくっていいんじゃないかな。上手く言えないけどさ…」
(誰かさんみたい、もっと言葉を知っていたら…もっと上手く言えたんだろうな…)
自分の非力さに、笑ってしまう沖田。
けど———。
「沖田さん」
ふいに名を呼ばれる。柔らかな声で。
目の前には涙に濡れた笑顔があった。
「ありがとうございます。もぅ自分自身から逃げません…!強くなります、私」
「私を変えてくれたのは…、沖田さんのおかげです。感謝します…っ」
————非力な言葉だったけど、彼女を笑顔にさせられた。それが素直に嬉しかったんだ。
タイミングが悪く、やかんのお湯が沸く。
「あっ、お湯が」
琴音は沖田に背を向け、湯のみにそのお湯を淹れ始める。
(僕の弱みはね、この体でいつまで近藤さんのために刀を振えることかな)
哀の含んだ笑みで、寂しそうに琴音には聞こえない声でそう告げた沖田。
(君はある意味…すごいよ。弱みを人に話せる勇気があるから)
(羨ましいかな)
「お茶淹れ終ったので、平助くんたちのところに戻りましょうか、沖田さん」
笑顔を咲き誇らせ、琴音はそう言った。
彼女にはまだ知らされてない、沖田の弱み。
知らない方が幸せだろうが、知ってしまうときがいずれはやってくるだろう。
どうか今だけは…幸せに笑っていてほしい。
沖田はそう祈った。
続く。
長いですね。
読むのお疲れ様でした。
そして、沖田さんキャラ崩壊しちゃってますよね。
さらに駄文で書き綴ったので、意味分からない話になってしまったこと…誠に深くお詫びします。
アドバイス、ご感想お待ちしております。