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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 『始まりの終わり』 ( No.1 )
- 日時: 2011/12/03 13:28
- 名前: ミズキュウラ・ドラッテ (ID: 9ySylEp9)
僕は、飛び起きた。
心臓が煩わしいほどに耳奥で跳ねている。顔は強張りその上を汗の滝が流れる。
汗ばむシャツと乱れた息。夏だと、こんな目覚めは鬱陶しい。空は、まだ明けていなかった。時計の針が12時を指している。
…何か、厭な夢を見た気がした。とてもじゃないけれど、吐き気がして気分が悪い。沼で足を突っこんだような不快な気持ち悪さだ。
まとわりつくシャツを乱暴に脱ぎ去り、僕は藍碧のベッドから下りた。水色のカーペットが足に形を合わせる感触。無風の部屋。
茶色いタンスの二段目を引き、そこから服を取り着替えた僕はその足で台所へと向う。
喉が異様に乾いていた。口を開けて寝ていたからかも知れない。息をする度乾いた咳が喉を差す。嫌気と苛立ちが心を急き立てる。
何がそうさせるのか、僕にはわからない。夜でも汗が出るほど暑い夏の気温の所為なのか。それとも、今日見た夢の所為なのか。
内容が何であったか思い出せないが、不愉快になったのは確かだ。
ため息を吐きながら薄暗い台所を行く。電気は点けず、愛用のコップを取ると蛇口を捻り、水を注ぐ。それを僕は一口で飲み干した。
一呼吸置いて、考え込む。
今日は14日だ。休日である。午後は彼女と公園で待ち合わせしていて、今が午前0時過ぎだと言うのならすぐに寝ないといつ起きるか判らない。休日だと思うと存分に寝てそうだからな。笑えね。
さて、間に合うかどうか。
「…もう、寝よ…」
大分不快さも消えたころ。僕はその重たい足を自分の寝室へと向けた。
途中でふと、足を止める。
何気なく見た先に、キャットフード(かなり大きめの)がおかれていた。まだ半分以上残っているヤツ。
——飼っていたクロのエサ…。
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