PR
二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ぬらりひょんの孫〜月下美人〜 ( No.216 )
- 日時: 2012/06/20 20:07
- 名前: このみ (ID: 3/dSGefI)
- 参照: http://yaplog.jp/momizi89/
第二十話 恋心
絶世の美女。
それは、輝夜と月夜よりも綺麗なのか?
ただ、そう思った。
だから一目見たいと思った。
見たい、と言っても、確かめるだけだった。
少し見て、絶世の美女のレベルを確認しておくだけだった。
別にそれに意味なんて無かった。
やましい事を考えていたわけでも無かった。
自分には輝夜だけだった。
なのに。
《なんだ……これは》
珱姫を見てから。
自分の気持ちが揺らいだ。
自分が懐かしい想いを抱いていることに気付いた。
それは、昔輝夜に恋心を抱いた時と同じ。
あの感触が今も胸に焼き付いている。
「嘘だろ……」
輝夜の笑顔、泣き顔、焦った顔、動揺している顔、困った顔、怒った顔。
どんな表情も、忘れない。
すぐに思い浮かべられるのに。
輝夜を思い出すと、月を見ると、珱姫の顔が浮かんだ。
同時に、浮かんだ。
《やめろ……やめてくれ》
ああ、自分は珱姫に恋をしてしまった。
認めたい。だけど認めたくない。
月夜の幼い時の顔。
輝夜の月夜を見る大人びた表情。
三人で過ごしたあの時間。
輝夜と月夜が病に侵された時のあの辛そうな顔。
その全てが浮かんできて。
苦しくなった。
何故自分は、珱姫を見てしまったのだろう。
正面から見ていなくても、遠目からでも。
何故、「確かめたい」などと思ってしまったのだろう。
そうすれば、こんな辛い思いをすることはなかったのに。
「マジかよ……」
今やこの思いは膨れ上がるばかり。
どうすればいいのか。
ぬらりひょんにはまだわからなかった。
PR