二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ぬらりひょんの孫〜愛してくれたから〜 コメント募集中!! ( No.35 )
- 日時: 2011/12/15 21:04
- 名前: このみ (ID: 1kkgi9CM)
『ああっ!駄目です!あっ、こら待ちなさい!』
「えへへー」
『……………』
『こら——————————っ!!!!』
爽やかな朝。
奴良組に輝夜の叫び声が響いた。
第七幕 ずっと居たい
すぐに日が昇ってしまい、輝夜は帰ろうにも帰れなくなった。
《日が沈んでいる間は…まだ良かったけれど…日が昇ってしまっては…》
部屋の中で蹲って考えている輝夜を見たぬらりひょんは、輝夜に今日はここに泊まっていけ、と言った。
どうすることもできない輝夜は、お言葉に甘えて…という事になり、今は奴良組の家事のお手伝いをしている。
奴良組は人(?)数が多い。そのため、ご飯を作るのに手間が掛かる。
朝早くに起きて、作り始めなければ間に合わない。
朝の四時半、雪麗や他の女妖怪たちと仕事分担をして、作り始める。
五時十五分くらいになると、台所からはいい匂いが漂ってきた。
その匂いに釣られてか、小妖怪達がお腹を空かせて、台所に入ってきた。
「一個も—らい!」
「俺もー」
「おいらもー」
「お腹空いたー」
納豆小僧や小鬼たちが、出来上がった物をつまみ食いしていく。
一個、と言っても、小妖怪達はかなりの人数で来るため、一気に無くなってしまう。
『だ、駄目ですよ!他の方の分が無くなってしまうでしょう!』
「そうよ、返しなさい」
輝夜や雪麗が言っても、小妖怪たちは渡さない。
「取ったモン勝ちだもんねー!」
そういって逃げ回るのである。
雪麗は、台所はこっちでやっておくから、小妖怪達をどうにかしてくれ、と頼んだ。ちなみに、雪麗は輝夜に対してはもう怒っておらず、ぬらりひょんに怒っていた。
輝夜は前掛けを取ると、小妖怪達を追いかけた。
『待ちなさい!』
「やだよー」
小妖怪たちは台所を出るとき、出来上がった物が載っている皿が並べてあった台から、一番大きな皿を持った。
輝夜から逃げているとき、それをつまみ食いするのだ。
今も、見せつけるように食べている。
『ああっ!駄目です!あっ、こら待ちなさい!』
「えへへー」
『……………』
輝夜は立ち止まり、拳を作り、できる限り息を吸った。
そして、叫んだ。
『こら——————————!!!!』
小妖怪たちはその叫び声に身を震わせ、食べ物を置いて去って行った。
小妖怪を追いかけるのと、叫ぶので体力を半分以上使い果たした輝夜はその場に座り込んだ。
『結構やりますね…小妖怪…!』
何故か悔しそうに言う輝夜を見て、一部始終を見ていたぬらりひょんは笑った。
「くっくっく…お主、本当に面白いのう」
『ぬ、ぬらりひょん様…』
「ところで、それは輝夜が作ったのか?」
『え?あ、はい』
「ほう…」
ぬらりひょんは床に置かれた皿を指さして言った。
それは輝夜が作ったものであった。
輝夜が答えると、ぬらりひょんはパクッと食べた。
『え…。え!?ちょ、何やってるんですか!ぬらりひょん様!?』
「おお、うまいうまい。凍ってなくていいのう」
『ぬらりひょん様!あっ!上に持ち上げないで下さい!届かないじゃないですか!それに凍るのは雪麗さんだけですから!普通にやったら凍りませんよ!』
「そういうものなのか?」
『とぼけないで下さい!分かってるでしょう!ていうか、返してください!』
ぬらりひょんはお皿をで持ち上げると、片手で食べ始めた。
輝夜はピョンピョン跳ぶが、輝夜とぬらりひょんではかなりの身長差があるので、届かない。
その時、台所の方から雪麗の声が聞こえてきた。
「輝夜ー?まだやってるのー?」
『え!?あ、いや…えーと…』
あなたの憧れている奴良組の総大将が、邪魔をしているんですが、とは言えず輝夜は口籠る。
前ではぬらりひょんが喉の奥でくつくつと笑っている。
輝夜は目を吊り上げ、眉間に皺を寄せた。
『返してください!』
「分かった分かった。そんなに怒るな。可愛い顔が台無しじゃ」
『もう!』
輝夜はぬらりひょんから皿を受け取ると、台所に向かって全力疾走した。
雪麗は輝夜がボロボロなのと、大分減った皿の上を見て、溜息をついた。
やっと朝食の時間になり、皿が並べられた。
小妖怪たちは遅い—と文句を言いながら座る。
いつもは予定の時間より早く皿が並べられるのだが、今日は小妖怪が邪魔をしたせいで遅くなっているらしい。
輝夜は文句を垂れる妖怪たちに、黒い笑みを作りながら言った。
『邪魔をしなければもっと早くに食べれたのですよ。遅いと言うのなら自分で作ってごらんなさいな』
美しい顔には黒が映える。
輝夜はその時、ぬらりひょんが見た中で一番美しかったそうだ。
《…疲れたけど、こんな朝が毎日続いたらいいな…》
輝夜はちょっとだけ、ここにずっと居たい、と思ってしまった。
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今回はちょっと平和な感じを入れながら、輝夜とぬらのいちゃつきも入れ…
まとめるのが大変でした…
読んでくれてありがとうございます^^