二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ぬらりひょんの孫〜愛してくれたから〜   コメント募集中!! ( No.75 )
日時: 2012/01/03 12:59
名前: このみ (ID: 1kkgi9CM)

第十幕   半妖の理由と罪



(一緒に居させて下さい)
輝夜がそう言うと、ぬらりひょんの顔はみるみるうちにパァッと明るくなった。
それだけでも嬉しかった。
これから、どれだけその『嬉しさ』を貰えるのだろう。
先走ってそんなことを考えてしまった。
《ぬらりひょん様は、妾の全てを受け入れてくれると言って下さった…。だけど、話を聞いているときに、心変わりするかもしれない…。でも、それでいい。心変わりしても、仕方がないような話なのだから…》
一つ深呼吸をして、ぬらりひょんを見つめる。

『ぬらりひょん様。妾の話を聞いてくださりますか?』

ぬらりひょんの金色の瞳を見つめながら、はっきりとした口調でそう言った。

「…ああ」

明るかった顔が、真剣な表情になっていく。

『ありがとうございます。長い話になりますので、どうぞこちらへ…』

前に一度通したことのある部屋にぬらりひょんを案内する。

『お茶を持ってきますね』

熱いお茶と饅頭を持っていくと、ぬらりひょんは「すまんな」と言って持って来たばかりのお茶を啜った。

『熱いですよ?』
「熱っ!」

言うタイミングが少し遅かった。

『だ、大丈夫ですか!?』
「あ、ああ。それで…話というのは…何じゃ?」
『…妾は…半妖なのです。その理由と…妾が犯してしまった罪について』
「……」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


月の都にいる姫は、過ちを犯してしまった。
自分の父親、月の都の王を殺してしまいまった。
姫は罰として、下界…つまり、地球に行かされることになった。
月と地球の時の流れは違う。地球が1000年経っても、月はまだ10年も経っていない、そんなゆっくりとした時の流れだった。
その月の時で、姫は1000年、下界にいなくてはならないことになった。
罰はそれだけでなく、満月の夜になると理性を忘れてしまい、人々を殺してしまう、というものだった。
しかも姫は、陰陽師がたくさんいると月でも噂の京に送り込まれた。
その京で暴れ、姫は一人の陰陽師に命を狙われる存在となった。
しかし、姫は満月の夜にしか暴れない。だからその陰陽師は満月の日にだけ姫を捕えようとした。

「待て!妖!」
「うう…うっ…はぁ、はぁ…人間…!」
「うおっ!?」

とは言っても人間が妖に勝てるはずもなく、形だけ追いかけていた。

「なあ、お前さん、本当に満月の夜だけ変わっちまうよなぁ」
「それが罰ですから…」
「満月じゃあなかったら、こんなにも優しくて、いい奴なのになぁ」
「ふふ、満月の夜の私は嫌い?」
「いや?むしろ好きだ。お前さんが一番輝いている時が嫌いな奴なんているかよ」
「やだ、それって人を殺している時でしょう?そんなところが好きなの?」
「人を殺しているのはいただけないが、それでも輝いているのは満月の夜だぜ」

男は姫の優しさに、そして美しさに惹かれていった。
姫も同じように、男に惚れていった。

「あなたといつまでも一緒に入れたらいいのに」
「いよう」
「え?」
「ずっと、一緒にいよう…」
「…はい…」

男の言葉で、姫は殺されることを覚悟で男と共に月に帰った。

「姫!姫様!よくぞお帰りになられました…。助けてください!月の都が……!」

しかし姫は月の都の崩壊のため殺されなかった。
姫の母が何者かに殺され、都は壊され、酷い有様だった。
犯人は城に籠っていて、出てこないという。

「俺が、そいつ等を何とかしてくるよ」
「え!?で、でも…」
「いいから。大丈夫、妖刀を持っているから」
「…」
「行ってくるよ」
「…行ってらっしゃい。帰ってきたら、あなたがこの国の王です」
「!ああ…」

姫は泣きながら男を見送った。




男が帰ってきたのは、2日後だった。
2日後と言えば短く感じるが、月の時間で2日後、地球の時間ではかなり経っている。
帰ってきた時、男はすでにボロボロで、生きているのが奇跡なくらいだった。

「あなた!」
「すまねぇ…。もうもたない…」
「いやよ、そんなこと言わないで!」
「泣くな…。なあ、夜瑠…」
「……?」
「俺たちの子の名前…決めていいか?」

姫こと夜瑠のお腹の中には、子供がいたのだ。
ボロボロで、今にも息が途絶えてしまいそうなこの時に、名を決めようというのだ。
夜瑠はぽたぽたと涙を流しながら、頭をぶんっと振って、頷いた。

「男だったら…和夜かずや、女だったら…輝夜」
「はい」
「立派な…子を、産んでくれよ…」
「はい…」
「あとは…た、のんだ…ぞ…」
「…は、いっ…」

その後男はすぐに息を引き取った。
夜瑠は王女となり、女を産んだ。
人間との間に生まれた子供。それをよく思わない妖も勿論いたが、子供、輝夜は強い力を持って生まれた。その為、周りの妖達は何も言えなくなってしまった。

そして、15年の月日が経った。
輝夜は自分の力を抑えきれていなかった。
通常、力が暴走するのは1歳から2歳の間なのだが、輝夜は力が強すぎた。その為、15歳になっても力が抑えきれなかった。
15歳で力が暴走するとなると、人を殺す力も大きくなる。また、どこを狙えば人が確実に死ぬのかなどの知識も身についているので、人を殺す確率が高くなる。
人を殺しすぎた輝夜は、母の夜瑠と同じように地球に落とされた。
ただし、京ではなく江戸に。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『これが、妾が半妖の理由と、罪です』
「…………」
『妾が京ではなく江戸に落とされたのは、母と同じように陰陽師に恋をするかもしれないと恐れたから』
「…いつか、月に帰ってしまうのか?」
『え?』
「いつまで、一緒にいられるんじゃ?」
『それは…妾が力を完全に操れたら…だと思います』

一応、月の時間で100年はここに居なくてはならない、と言われた。
それでも力を抑えきれない場合は、時間を延長する、とも。

「ワシと…一緒にいてくれ」
『でも…妾は…』
「罪も何も関係ない。ワシは輝夜と一緒にいたい」
『…はい…』

伸ばされた手を、輝夜は取った。



☆あとがき☆

やっと第十幕です!いやぁ、長いですね。
書くの大変でしたよ…。
皆さん、違いに気付いていますか?
輝夜のお母さんは、無理矢理人を殺させられて、輝夜は力が抑えきれなくって人を殺しているんですよ!
まあ、それがどうしたって話ですけどね。
次は祝言上げなきゃ…。てか、上げたこともないのに書くのとか難しすぎるっ><
誰か文才please! help me!