二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D.Gray-man 寄生された右目 ( No.137 )
日時: 2012/02/28 19:10
名前: 有栖 (ID: lL8RIxSj)


姫につかえる剣闘士———ヴィットリオ
どんな縁談でも、結婚を認めない姫———サンドラ
姫は、一番強い男と結婚する、と決めた。
それにのって次々とヴィットリオと戦う人は増えていった。
ヴィットリオには休む暇もない。
疲れきって、本当は負けてしまいたかった。だが、姫を誰かのものにしたくなかった。
負けてしまいたかったが、負けられなかった。耐えられなかった。
でも勝ち続けたかった。そんなヴィットリオにお前は、手助けしたくなったんだな。
でも、人間は平均して80歳くらいしかいきられない。
1000年も生かしておくなんて無理な事なんだ。お前も、もう耐えられなかったんだろう。
だから暴走したんだろう。その苦しみを、俺が解放してやる。


現実に戻ってきた時、ヴィットリオの剣が直前まで来ていた。
それを、即座にかわす。危機一髪だった…

「なぁ、ヴィットリオ」
俺は、攻撃するのを一旦やめてかわすのに集中した。
「お前は、何度も何度も戦い続けた。姫をだれのものにもしたくなかったから。負けたかったけど負けられなかった。」
「貴様に何がわかる。」
「でもな、よく考えてみろよ。一番強いのは誰だ? 何度も何度も戦を挑んできた奴らはみんな負けた。それは、誰に負けた? お前に負けたんだ。ヴィットリオ。みんなお前に負けたんだ。昨日戦った白髪の奴も。黒髪の奴も。みんな、お前に負けたんだ。分かるか? 結局の所、一番強いのはお前なんだ。」
「俺は、姫につかえる剣闘士。勝つのは当たり前だ」
「姫は、きっと身近にいすぎてお前の存在に気付かなかったんだろうな。その、誰にも負けない強さを」
話がラストスパートにかかり、俺も攻めに入った。
「ちなみに、俺は姫の取り合いにはもうすでに降参してる。俺が狙ってるのは、姫でなくて、イノセンスだって奴だ。」
一度、思い切りヴィットリオが思い切り振り下ろしたのを狙いそれをよけ、ヴィットリオの背後に回り込み、腕を思い切り切断した。
遠くからもう一つのイノセンスの気配がする。たぶん、神田とか言う奴が考えが浮かんでこっちへ向かってきたのだろう。
すでに遅し。イノセンスは無事に手に入れた。
ヴィットリオは、切断された所から大量の血が溢れだしその場で膝をつく。
そこへクラウディアがやってきた。その時には、ヴィットリオの顔や髪はすでに老けていた。
「ヴィットリオ! もう戦わなくていいのよ。一緒に静かな所で過ごしましょう」
神田やリナリー、アレンがヴィットリオの方へ向いた。
「姫…いや、あなたが姫でないことは分かっていた。」
ヴィットリオが苦し紛れに声をだす。クラウディアは、大量の涙が流れていた。
「姫がもう、なくなられたことも。貴方の為に戦えることだけが幸せだった。」
それは、そうだろうな。人間が1000年も生きられない事は誰でも知ってることだ。
「貴方は、貴方の為に生きればいい。サンドラのように。」
「ヴィットリオ…」
ヴィットリオは、力尽きたのか、目を開けたまま地面に倒れた。
「死んじゃいや!! ヴィットリオ!!」
誰も、動かないので俺が近づいて一言いった。
「ヴィットリオは、人間だ。感情がある。だから、長く生きられない。元々そいつは死んでるんだよ。ヴィットリオは、人の何倍もの人生を俺達イノセンスのせいで生きてしまった。それは、ある意味で罪なのかもな。」