二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D.Gray-man 寄生された右目 ( No.505 )
日時: 2012/07/28 22:11
名前: 有栖 (ID: vDb5uiaj)

—泣くなって言われても我慢出来なくて。でも、泣いたら叩かれて…。そんな日々が続いている。

—こんな生活が嫌だったから、家から抜け出した—

ルキアは、真冬に小さい身体を動かす。
走って、走って、走り続ける。
絶対、お母さんに見つからないようなところまで。

「おっと。」

ルキアは、名も知らない誰かにぶつかってしまう。

「迷子かい? それとも…」

その青年は、とても目立った格好をしていたが、そんなのルキアは気にしない。
ただ、その青年にすがるように必死に言葉を呟こうとする。
それを見て青年がしゃがんで自分の手をルキアの頬に触れる。
ルキアの体は、すごく冷えていて青年の手も一気に冷えてゆく。
その瞬間、ルキアの目から大粒の涙がこぼれ始めた。

「やっぱり。君は、僕ととても似ている。」

やっとルキアは、必死に声を出すことが出来た
でも、その言葉はほんの一部で。普通の人では聞き取れないような声。

「た・す・・けて。おね・・がい。たす・・けて。」

でも、青年はその声とちゃんと聞きとっていた。

「一緒においで。」

そう反対の手をそっと差し伸べる。
ルキアは、それをもう絶対に離さないと言うように小さいルキアなりに力強く握っていた。



青年は、すぐに家へと戻り暖炉に薪を集めて火をつける。
その近くにルキアを座らせ、隣に青年が座る。

「炎がそんなに珍しいかい?」

青年が声をかけるがルキアは反応しない。
目の前の赤く自由に動くその炎をじっと見つめているだけ。
だが、その内だんだん眠くなってきたのかルキアは、そのまま眠ってしまう。
体温も平温に戻ってきた所でルキアをベットに寝かせてやってから青年は、来ている団服を脱ぐ。

「…あの子が目覚めたらいろいろ教えてあげようか」





その後。
ルキアの体力も戻り叩かれた痕も薄れて来る。
言葉や、地理も覚えて3年が立つ。

「リクト 目 両方 赤い」

「ん、あ、あぁ。悪い。変な物をみせちったな」

「そんなことない とても 奇麗」

「クス。お前は、なんて事いうんだ。これまでそんな事いった奴一人もいなかったぞ」

「だって 私より 奇麗」

「………(こいつの目、イノセンス埋め込まれてんだよなぁ。)」

「私 変なの ある」

「そうだな。でも、その“変なの”未来で役に立つぞ」

「未来?」

「あぁ。未来で。それまでずっとそのイノ…“変なの”は、隠しておこうか」

ルキアは、うなずく。
青年は、どっからか眼帯をとりだしてルキアにつけてあげる。

「ほら」

「鏡」

「いいよ」

ルキアは、鏡のある場所まで走りだした。

「俺の目が、奇麗…ねぇ?お前の目もイノセンスなかったら奇麗なのに。」

—あれのせいで、どんどんノアに侵されていく時がある。たまに破壊したくなる衝動にかられる。早くなんとかしねぇと