二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】 紅鬼姫の純愛 ( No.7 )
- 日時: 2011/11/30 17:47
- 名前: 悪魔ビビ (ID: 2GxelfGo)
- 参照: 寒い
/01 会いに来ました!!
「やっと着いたぁ〜」
少女が弾んだ声で言う。屋根の上から歌舞伎町を見下ろす。真紅の長い髪を風に揺らし少女はにっこり微笑んだ。
「ひっさしぶりだなぁ!何にも変わってないや」
少女は軽やかに地面に降りると土の感触を確かめるようにゆっくり歩く。しかしだんだんとそのスピードは速まっていき・・・最終的には走っていた。
少女とすれ違う全ての人間が振り返る。子どもも大人も男も女も老人も老婆も・・・それもそのはずだ。真紅の髪をさらりと揺らし、大きな色素の薄い紫色の瞳を輝かせ、髪とおそろいの紅い着物に紺の袴を身にまとった少女はまるで、四月に舞う桜のように可憐な少女だった。
「ん?・・・・この香りは!!」
少女は甘味屋の前で足を止めると少し迷った後、その思いを振り払うように頭を左右に振って中へと足を進めた。
「いらっしゃいませ!お一人様でしょうか」
「そうでーす♪」
「ではこちらへどうぞ(にこ」
上機嫌でウエイトレスに着いていき案内された席へ座る。メニューを見つめる瞳はものすごく真剣だ。そして意を決したように顔を上げ「すみませーん」と声を上げる。
「はい、ご注文はお決まりでしょうか」
「チョコパフェ50個くださーい♪」
「・・・・も、もう一度言って貰ってよいでしょうか・・・」
「?はい!チョコパフェ50個ください(にこ」
「か、かしこまりました・・・50個でよろしいんですね・・・」
「はい」
少女はにっこりと可愛いらしく笑う。それと対照的にウエイトレスは頬を引きつらせて笑った。ウエイトレスは思った。
(絶対残すわ、このお客様・・・この細い身体に入るわけがないもの・・・)
一礼し注文を伝えに歩きながら静かにため息をついた。誰が見ても少女の細い身体に50個のパフェが入るはずが無かった。・・・・だが。
「ごちそうさまでしたー♪」
「うそでしょォォォォォォォ!?」
少女はわずか30分程で50個のパフェを平らげた。そして上機嫌でお代を払っていくと立ち去っていったのだった。
「ふー・・・ちょっと食べ過ぎちゃったかなぁ?」
少女は独り言を言いながら歩く。その足は今度こそ止まることは無く目的地へと着いた。
「見つけたっ♪」
嬉しそうに笑う少女の先には・・・『真選組 屯所』と書かれていた。少女は迷う事なく中へと入る。そのまま中へ進もうとすると、そこでミントンをしていた青年に声をかけられた。
「ちょっとちょっと!!困るよお嬢ちゃん」
「え?」
「ここ何処だか分かってる?ここはーーーーー」
「真選組の屯所でしょ?知ってるよ?」
「じゃあ話は早いね。ここはね、子どもが軽々しく入っちゃいけない所なんだよ?」
「子どもって・・・・もしかして私の事?」
「あたりまえでしょ」
少女は青年の言葉にうつむく。
「お嬢ちゃん・・?」
「・・・じゃない」
「え?」
「私は子どもじゃなぁーーーーい!!!!」
「うわっ!!!」
大声で叫び出す少女に青年は耳を押さえる。少女はよほど子ども扱いされたのが嫌だったのか目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「ちょっと背が低いからって子どもとは失礼でしょ!!」
「はぁ?君は子どもでしょ?見た目からして・・・」
「うるさぁーーーい!!まだまだ伸びるもんっ!!それに私は18歳だよーだ」
「えぇ!?じゅ、18歳??」
「そーだよ!」
ぷんっと拗ねたようにそっぽを向く少女を見て青年は「まいったなぁ」と弱弱しく声を上げる。
「おーいジミーなにやってんでさァ」
「あ!沖田隊長!!」
「え・・・・沖田?」
門から入ってきた麻栗色の髪に紅い瞳の少年ーー『沖田総悟』が少女と話していたーー『山崎退』に声をかける。
「声、屯所の外まで響いてやしたぜェ?」
「うわ!!すみません」
「まァ別にかまいやせんが・・・で、なんの騒ぎでィ」
「いやぁ・・・それが・・・」
「?」
「このお嬢ちゃんがいきなり屯所に入って来まして・・・」
「お嬢ちゃん?」
総悟が視線を山崎の裏へ移す。すると少女はゆっくりと確かめるように口を開いた。
「そうご・・?」
「え・・・こ・・う?」
少女ーー『如月紅』が顔をぱぁっと輝かせ総悟に抱きつく。
「総悟っ!!」
「紅・・・」
総悟は紅をしっかりと抱きしめ愛おしそうに髪に顔を埋めた。感動の再会を行っている二人とは対照的に山崎の頭には?マークが浮かんでいた。