二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 唄のギフト券分けます___【ボカロ】 ( No.3 )
日時: 2011/12/04 21:27
名前: 柿煮つめ缶 (ID: 8sjNuoVL)








「革命を、起こそうじゃないの」


緑の髪を持つ少女は、冷たさと少し淋しげのある声でそう呟いた。











             千本桜
                 一幕
                    ハイカラ革命













刻は丑三つ時。廃倉庫の中ぽつりとランプの火が灯り、何やら妖しげな雰囲気を漂わせていた。
こんな遅い時間だとも言うのに、まだ真昼の様な明るさがあった。
白夜である。これでは草木も眠る筈など有るまい。
少し歪んだ大正時代。緑の髪の少女と、似たような顔、佇まいをした少年と少女が少し錆びた鉄の缶の上に座っていた。


「…んで初音、その革命とやらはどんなんでさァ?」

「まァ、簡単だ。手前等これ見なさい」


ゴトン、と目の前に少し古びてはいるものの、まだまだ使えるずっしりとした光線銃が置かれた。
一見どこぞのバズーカ砲の様で子供が持つには大きく、表面は黒光りしている。
子供が何故この様な物騒な物を持てるのか、ときょうは少し疑問を抱いた。


「初音、こいつぁ上玉じゃねェか。どこで手に入れたんだ?」

「大分秘密裏な取引ン所、警備甘いからさらってきたのよ。今の奴等は貧弱貧弱」

「女なのに結構な胆据わってやがるな」

「ンな女扱いすんな!」


初音はカッと頭に血が上り力強くそこら辺の空き瓶を蹴り飛ばした。鉄骨に当たって鼓膜が破れるような激しい割れる音がし、呆気なく空き瓶は只の欠片となった。 
女扱いされるのは苦手らしく、祖の様な扱いを受けると必ず手当たり次第に周りの物を蹴り飛ばすか投げるかして八つ当たりをする。彼女の悪い癖である。

しかし、その隅で小さく縮こまって怯える少女がいた。
頭の上は綿の様なボンネットに右目に眼帯をして、手には自分と似たような文化人形が握り締められている。よく見てみると足が一本破けて無くなっていた。
名は、かがみと言った。


「ゃ………や、めて。こわ、い」


直ぐに消えて無くなりそうな程か細い声でかがみは呟いた。
溜まった涙が濃い藍色の瞳がぽろっと取れそうな位潤わせており、そして人形を潰れるほど力強く握り締めていた。

此れには初音も詰まり、しゅんと花が萎んだように大人しくなった。


「ってーことで、これでしまい。帰った帰った」

「何だそれだけかァ、つまんねェの。一発打ち上げんのかと思ったよ………あ、と……そうだ。あの優兄さん如何どうした、あの青い奴」


きょうに其のことを言われた途端、初音はドキンとなり相棒の二輪車を曳いて行こうとしていた足を止めた。
青い頭に青い瞳、初音には少し離れた兄が居た。現在は過去形であり、この地には居ない。


「あ、兄貴は帰って来さえもしねェよ! どうせ放浪して女遊びしてんだろ」


荒々しく言葉を吐き捨てると、光線銃を担いでもう少しで朝になるであろう町へと颯爽と二輪車に跨り駆けて行った。
長く伸びた緑の髪を激しくなびかせながら。


「かがみ、俺達も帰るか」



















二幕に続く

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