二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【三章開始】月下で交わる二人のオレンジ【キャラ募集】 ( No.75 )
- 日時: 2012/03/07 17:34
- 名前: 月牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: 5DiXAqe.)
- 参照: 獄寺&山本VS詩音&紅蓮 その一。
「さて……獄寺隼人と山本武だな? 俺は双竜紅蓮」
「そして僕が弟の双竜詩音。了平さんの指示の下、あなた方のリング、貰いに来ました」
獄寺と山本を待ち構えていたのは二人の剣士。青い長髪の背の低い一人と、短髪の赤い髪の女。それぞれ青と紅の、透き通るような刄の剣を持っていた。スラリと細長く伸びたその剣はとても綺麗で傷もあまり付いていなかった。単に経験が浅いのか、普通に強いのかは分からない。
ふと、二人の脳裏をよぎる一つの疑問。それは詩音自身が言った、弟であるという発言。長い髪の毛に姉そっくりの顔、そのせいで戸魂界にいる時からずっと女だと思っていた。しかし今の一言で思い込みは瓦解された。
「僕は雨の剣士同士おもいっきり闘いたいんだけど、良いかな?」
「構わねぇぜ。女だと思ってたから闘いづらかったけど、男ならやってやる」
「俺はそっちの女か……。俺は女だからって手加減するつもりはねぇぞ」
「ハッ、手加減って言うのは強い方が言う言葉だぜ」
瞬間、眉間に皺を寄せた獄寺が炎を灯す。そのままもう一方のリングと反応させ、自らの武器を取り出す。左腕に髑髏を模した小型の大砲のような武器を付け、右手の五本の指全てにリングを付けている。そのリング一つ一つの属性は全部が異なっていた。そして腰のベルトには匣がいくつも並んでいる。肩には一匹の猫が乗っている。
同時に山本も同様の行動を取る。彼が構えると同時に竹刀は隠されていた真剣の姿を剥き出しにする。雨の炎がその刀身を包み込み、それを右手に持つ。左手には匣アニマルの犬が差し出す小刀が三本。三本とも柄だけの存在だったが、山本が触れると同時に、雨の炎で刄が構築された。
「紅蓮って言ったな。お前、嵐か?」
「いや、俺の属性は晴れだぜ」
「そうか。じゃあ一つ言っておくぜ」
「何だ、手加減して下さいってか?」
「ボンゴレ嘗めんじゃねぇ」
髑髏の口、つまりは大砲の銃口を紅蓮の方に向ける。最も基本的な弾薬は既に込められている。反動で狙いがぶれないように右手で支える。集約された深紅の炎が火炎放射機のように、その大口径から発射される。分解作用を持った嵐属性のレーザー、破壊力は十分。
それに対しリングを持たない紅蓮は、炎を剣に灯す。紅蓮の持つフレイムソードと呼ばれる紅の剣と、アイスソードと呼ばれる詩音の持つ剣は共に、リングを作る石と同じ素材でできている。
先ほど言った通り紅蓮は晴れ属性の炎。本来黄色の炎を点ける筈だが、刄の赤みが強く反映されて赤に近い橙色に変わっている。
油断は絶対禁物、それを踏まえて先手を打った。最も単調で一般的な攻撃だが、初撃の様子見にはもってこいだろう。赤いレーザーは紅蓮に迫っている。もう後は瞬きを一度でもすれば届きそうな距離。そして、レーザーは彼女を貫いたかのように見えた。
一切の挙動を見せる素振り無く、今の赤炎の矢<フレイムアロー>を真正面から喰らったのに少々違和感を感じる。雷属性ならば防御力強化などもできるかもしれないが、晴れで直撃するのは危うい。自己治癒力最大活性をして回復できても、一撃で倒されたらどうするつもりなのだろうか。
だが、細心の注意を払ってよく目を凝らしてみてようやく気付く。彼女に直撃する前と後の赤炎の矢では、若干左右の幅に違いがあると。何事かと思い、考査する。出てきた答えは一つ、手元の剣で斬り裂き、真っ二つに裂いて自分に寄せ付けなかったのだろう。斜め向いた曲がり道に差し掛かったように切り口を中心として左右に広がっていた。
すぐさま獄寺は判断する、紅蓮は晴れの中でも、治癒よりも肉体活性で攻めるタイプなのだと。速度面では明らかに勝ち目がないであろうから、気を緩めないように注意する。匣の内の一つを開けて、ディスク状の移動兵器を取り出した。炎の光線が完全に彼女を通過した後に、紅蓮は駆け出した。
確かに常人には出し難いような速度だが、常日頃傍にいる沢田や、雲雀と比べると数段見劣りする。ならば先程の、いとも容易くこちらの攻撃をいなしたことから、スピードよりもパワーに重きを置いていると発覚。絶対に喰らわないようにと心がける。
彼女の剣を取り囲む炎が一層強くなる。何かしら仕掛けてくると察した彼は違う匣を開く。そこには新たな弾薬が入っており、元々付けていたものと取り換える。棒状の小さな弾丸がいくつも連なっている。
「……果てろ」
発射弾数の増えた分、きっちりと狙いを定めて撃ちまくる。まるでボウガンで撃つようなその弾頭は、後部からオレンジの炎を放っていた。
獄寺の戦闘スタイルは、SISTEMA.C.A.I<システーマ・シーエーアイ>というものだ。特徴的な五種類もの炎を使い分け、その場に応じて適切な闘い方を取る。そのうちの、今発射した弾は晴れ属性の活性で不規則にその速度を増加させる。
あらゆる方向から狙い撃つ分、どれか一発程度は当たるだろうと踏んでいたのが甘かった。大して速度に変化が無いと、妥協した考えもよくなかった。確かに紅蓮は移動速度はツナほどではない。しかし、剣士としての腕前は確かで、剣を振るう動作はかなり早い。
刀に纏った強力な炎と共にそこらに剣を振り回す。そちらのスピードはかなりのもので、ほんの一瞬油断をした彼には視認できなかった。だが、これだけは分かった。高速で振るわれた刀はその炎で壁を形成、獄寺の撃った弾薬を次々と消炭へと変えてしまった。
「なっ……嘘だろ!?」
「煉獄斬だ、甘く見んなよ!」
名前から察するに炎で燃やしつくす系統の技なのだろう。やはり攻撃面は馬鹿にできないと分かる。ディスクで飛び上がろうにも、それにはそれほどの飛行性能は備わっていないため、しづらい。その上、これの飛行可能領域ならば、彼女が飛び上がれば届くだろう。
ならば盾を出すのが賢明と言うもの。違う匣にまた手を伸ばす。そこからはただの黒い輪が取り出された。紅蓮はただのガラクタだと嘗めて掛かる。しかし次の瞬間にそれは空中に浮き、空洞になっていた輪の中を嵐の炎が入りこむ。そしてその上を、さらに防御力を向上させるために雨の炎がコーティングする。
それでも、パッと見た感じちゃちなシールドだという事に大差はない。自信を持ち、余裕の表情で斬りかかる。砂煙を舞い上げて衝突するも、その盾は砕けなかった。嵐属性の効果“分解”による破壊効果と、雨属性による“鎮静”によって、紅蓮の炎が無力化されたのだ。
そうやって止めたはずなのに、獄寺の周りを強い熱気が立ち込める。確実に炎は消し去ったはずだが、この現象はどういう事か、初めて起こった事に狼狽するが深く考える暇はなかった。
「本来俺たちはコンビで闘ってんだけどな、今日は珍しく詩音が我を通したがってんだ。だから俺は姉貴らしくお前はさっさと片付けるぜ」
「自慢の技簡単に止められて何言ってやがる。それに、姉らしくするならもっと御淑やかにでもしときな」
「自慢の技止められてんのてめえも一緒だよ。姉貴恐怖症のてめえの話を聞く気もねえけどな!」
「けっ、そんな下らねえ情報まで流れてんのか。良いぜ、次は全力だ」
さらに別の匣を開き、また異なった弾頭を取り出す。そして今度は深紅の大砲に、微かな緑色の電撃が垣間見える。雷属性の炎の色は緑色、そして炎と言うよりも電気に極めて酷似している。その炎が及ぼす効果は“硬化”。七属性の中で最も硬度の高い雷の炎を帯びると、防御力や攻撃力が上がる。
この場合はその効力を、攻撃に使っている。この武器の形態では随一の威力を誇っている。
「かなり本気じゃねえか、じゃあ俺だってやってやるぜ」
途端に、刀を包み込む炎は膨大な量となり、紅蓮本人を呑みこんだ。体全体を活性化させた攻撃。正直雷で威力を上げたところで、力不足になる可能性の方が充分に高い。
ダメならば次があると、高をくくる。どのように仕掛けてくるかは知らないが、おそらく単調であろうと。その予測が外れていると分かるのは、そう遠い未来では無かった。
瞬間、紅蓮は駆け出す。それと同時に獄寺も渾身の一発を発射する。覚悟は込めた、ただの一撃では壊れない自信はある。
だが、突如として紅蓮の炎は姿を変えて行く。ただの無造作な力の塊だった炎が次第に輪郭を作りだしていくのだ。少しずつ、少しずつ、何かの形を成すようにしてその外観は変化していく。
最初に出来上がったのは牙のようなものだった。尖った炎は牙だと、すぐに口の部分だと分かった。この段階ではさほど恐れることは何も無い。ただ、次がかなり不味かった。次に出来上がったのは髭、それも一本の長いものだ。人間に生えているようなものではない。完全にナマズやとある想像上の存在の生やすものだ。
「こっちだって全力で行ってやんよ、焦土龍帝!」
もうすでにはっきりとしていた。紅蓮を包む炎は、怒り荒れ狂う龍の頭部を表わしていた。その堂々たる威厳や、まさに皇帝の如く。それの前では獄寺の砲台など、オモチャ同然。あっさりとその口に呑みこまれ、無力と化す。
その名に恥じぬほどの熱量を持ち、通る所から技名通り焦土へと変えていく。
「なっ……どういう威力してんだよこいつ!?」
顔を引きつらせながら吠えるように叫び、咄嗟に後ろに飛び退く。しかし、一直線に進んでいるのだから下がった所で無駄。ほんの少し寿命の延びるだけだ。それが分かっていながらも時間稼ぎに後ろに退く。自身最強の武器を使うために。
「瓜……形態変化<カンビオフォルマ>」
瓜……彼のアニマルリングから、大量の匣と共に現れた小さな猫は形態変化の合図で、沢田や雲雀のそれと同様に光の糸を張りだす。髑髏の上で、威嚇するような唸り声を上げて。目のくらむ閃光が消えた時には、髑髏型の兵器は弓型の武器へと姿形を変えていた。
初代ファミリーの、ボスの右腕として恐れられていた男がいる。普段は拳銃で闘うが、ここぞという場面ではボスから託された弓で闘った。その強さはまさに百戦錬磨、彼の名前は“G”。よってこの武器はこう呼ばれる、“Gのアーチェリー”と。
弦を引き寄せる、ただそれだけのことで、相当な量の炎が漏れだす。ただ弓を持ったまま、発射態勢に入っただけで先程よりも威力が上がる。それに最も戦慄を覚えているのは他ならぬ紅蓮だ。それでも、たったそれだけの攻撃では龍は崩れない。
「それで勝ったつもりになってんじゃねえぞ……赤竜巻の矢<トルネードフレイムアロー>」
精いっぱい引き絞られた弓矢の弦から、獄寺は手を離した。息を呑む間もないまま、一瞬の間隙に弓はその弾性力で形を戻す。その拍子に、溜めこまれた炎圧が一挙に放出された。その時は、無音。だがそれは感じた事の無い恐怖を紅蓮に与える。適当な破壊音ならば大体の威力は察せられる。だが、無音。それは自分の焦土龍帝も同じ。それが指している意味はかなりの力だぞ、ただそれだけだ。触れただけで嵐の“分解”によってコンクリートが崩壊する。それはどう見ても並々ならないだろう。
ぞっとしたままに突っ込む。それがいけなかった。死ぬ気の炎は本来、覚悟を炎に変えている。不用意な恐怖は意志を不安定にする。必然的に、その威力を下げてしまう。
衝突した二つの炎塊は、大気を押し潰して大爆発を巻き上げる。それは、隣の雨の剣士二人にとっては巻き起こせない大規模な闘いだ。だが、そっちの二人はそっちの二人で、お互いの剣技をぶつけ合って、ただ、楽しんでいた。
はい、完成。この闘い分けます。
まずは紅蓮VS獄寺。勝手に焦土龍帝とかいうチートな感じなの作りました。
まだ決着ついてませんがね。
勿論双子なので……ねぇ……
次回は剣での闘いです。一番好きなの剣での戦闘シーンです。
そのせいで時空が大分剣を使って闘ってました、すいません。
次回は詩音VS山本です。
最後に謝罪です、戦闘シーン好きすぎて無駄にくどいです。
読みにくかったらすいません、本当に。