二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 欠陥品 【銀魂】 ( No.2 )
日時: 2011/12/01 20:36
名前: 千鶴 ◆iYEpEVPG4g (ID: WPJCncTm)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

 



     
01【かみさま】
                  



 頭が痛い。そういう痛いじゃなくて、物理的に頭が痛い。
だらりと生暖かいものが頬の横に垂れた。恐らくこれは、血液。
そして今、この頭に与えられた衝撃によって出血しているのである。
     
つまりまとめていうと救急車を呼んで欲しい。

なのに、なのに。人の気配が全くないと言ってもいい。はや10分が経過している。
意識が遠のく。ふらふら千鳥足になって、視界が黒に染まっては歪んでゆく。
    
 ぱったりと意識を手放した時は、本気で死ぬかと思った。




 秋晴れの空は心地良く、澄んだ空気さえ感じさせる午後だった。
山崎からの緊急の垂れ込みに、真選組の半数以上で攘夷浪士の機関に乗り込んでいた。
大規模であったせいか制圧はかなりの時間を要し、今しがた頭が降参しやがったと沖田から連絡があった。
真選組率いる名高い副長、土方は今まさに幕切れであろうと刀を下ろした。
 
 轟音が、響いた。
 脆い木造建築が破壊される。大きな建物だけに崩れ去る姿はさながら竜のようであった。


「おい総悟ォ!お前また無断で公共機関に撃つんじゃ・・・」
 「俺じゃありやせん。いきなり自爆してきやがった。」
 
「他の隊員達は?」

「そんなヤワな奴らここにいねェや。んなことより土方さん。こんなところに女の死者がいますぜ。」
 
こっち来て見てくだせェよ、と沖田が言った。
    
「え?何それ沖田君?まさか死んでる?死者発生?」
 
「だからさっきから言ってるじゃねェですかィ。」
 
 騒がしいと目を開けて。
視界の先。に、あったものと言えば。
えらくサラッサラな栗色の毛と、空中に立ち上るタバコの煙だけである。
 

「人を死人扱いしないでください。・・・まだ、多少なりとも生きてるんで。」

と言った。
 
「ほっといて死ぬまで待ちやしょうか。」
「おう、そうだなって誰が言うかボケェェェッ!」
 
「あんたこいつらの仲間かい?」
「むしろこいつらって誰だよって感じです」
 
「運が良かったなあんた。殺さなくて済みそうだ。」
 
 その、赤いひとみの奥の奥のほうに、鈍い光を感じた。
手を伸ばそうとするけれど、瓦礫が重い。
    
「すいません、ちょっと離れて。」
 
 万全ならと思いつつ、左手と体半分に乗っていた瓦を右手で破壊。えらく酷い騒音だが、気にしない。
足の上に乗っていた大きな瓦礫は、砂の壁の一部を足で蹴って削り取る。
 
「こいつァ驚いた。あんたレスラーかなんかかィ?」
「善良な一般人です。」
 
「善良な一般市民は鉄を破壊なんてできやせんぜ。
・・・あ、新しい玩具も発見できたし、これにて撤退つーことで。」
 
「ひじかたさーんあとはよろしくー。」「おいちょっと待てィ!」
    
 立ち上がったところを手を掴まれる。この人は、沖田さん、とか言うみたいだ。
 
「何しに行くんですか?」
 「事情聴取という名のドラマ刑事がやるあれでさァ。」
        
「腕、血ィ出てますよ。」
「あんたは頭から出てるだろィ。」