二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: KAMISAMA!【銀魂】 ( No.12 )
日時: 2011/12/18 19:59
名前: 千鶴 ◆iYEpEVPG4g (ID: WPJCncTm)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

 
  
05 【I don't knowの大量使用は御止めください】 



            
 そろそろ帰れば、と洗面所で銀時に言われたのは今朝のことだった。
 
うががががと変な音を出して口を濯いでいた最中に言われたもんで、適当にはぐらしかしたままである。
実を言うと「帰る」つもりは毛頭ない。帰る場所なんてなーんにもないからだ。
正に根無し草。ただひとつ違うのは、煩わしく動き回る草ってだけ。
ふよふよシャボン玉のように漂ったり、爬虫類のように地面を這ったり、バッタのように跳ね回ったりするのがわたしにはお似合いなのだ。定位置がないというのは案外気楽なものである。
 
じゃあどうして銀時の家に居る気になったの、と言うと。
んー、楽しいから?嬉しいから?もしかしたら、わたしの知らないところでのわたしが他の何かプラスの感情を持っているのかもしれない。
きっとそんなの全てを合わせてみたら、そういうことになったんだろう。
理由なんて単純で、不明瞭なもんでも十分だと思う。


            
 そんなこんなで、どう銀時を言いくるめよう、と考えた正午過ぎのこと。

もはやリビングルームと化した客室の扉を開けた。見ると、銀時が廊下に出ようとしていたところだった。こちらの足音にも気付かず、ゆっくりとした足取り。
 
「銀時、どこ行くのー?」
と、声を掛けた。銀時が振り向く。 
 
「仕事に決まってるじゃねェか。お前はウゼェから来んなよ。」
「ふうん、そう言われると行きたくなるよね。で、どんな仕事?
万事屋って言うんだから、そうそうすることが確定された職業でもないでしょ。」

「野郎共の代わりに幽霊を追っ払う為の拝み屋。」
「・・・・・銀時幽霊とか神様を拝む能力なんてあったっけ。」
 
 怪訝そうな顔をしたわたしを見て足取りを進めた。
拗ねた子供のように突っ立って途中でふと、神楽ちゃんと新八くんは、と聞こうとしたけど、もう玄関を出てしまっていた。
     
猛スピードで寝室に戻り、バックの中から適当に衣服を掴み取る。
さすがに寝巻きのまま人様に顔を出す訳にはいかないのだ。
レースが腕の辺りに引っ掛かったまま、茶色の靴下を履きながら移動する。
玄関の自分の靴まで辿り着くと、ストラップを外したまま外へ駆け出した。
 
 アパートを下ると、神楽ちゃんの赤いチャイナ服が目先に視界に入った。
 
「あかねアル!」
 
「やほー神楽ちゃん。」
 
こちらに気付いてくれたので、靴のストラップをしゃがんで付けながらそう言った。
一段落着いて立ち上がると、
 
「今日って仕事行くんだよね?」
「そうアル。銀ちゃんが屯所に行くから変装道具を買っておけだの言ってたアル。」
 
「じゃあ新八くんはパシられに行った、と。それで銀時は———ジャンプとか買いに行ってる?」
「たった3日でメガネと天パの性質を見分けられるとは中々やるアルな!」
「まあ天パの方は昔から馴染みがあるからねえ。そう言われると照れるなあ。」
      

「照れるな。」
ぺしん、と頭を軽く叩かれる。銀時の声だった。
傍には白いオートバイがあり、左手にはジャンプ。

     
「とりあえず皆さんはこれに着替えて・・・。」
「あれ?」
 
「あれって何ですか?東雲さん。」
「新八くん、いつから居たっけ?」
        
「さっきから居たんですけど僕。」
「新八、細かいことは気にするなヨロシ。」
 
「そうだ、例えお前の影がどんなに薄かろうとむしろ存在が空気であろうと俺達はちゃんとお前の事分かってる分かってる。多分。」
 
「あははー、」
 
「そろそろキレますよ?!アンタらちょっとは気ィ使えやァァ!」
         
「つまり纏めると、だな。世界は平和。これでおっけー。」
「どこで大丈夫になったんですか?!てか東雲さん適当な人だとは思ってたけどここまでアバウトだとは思ってなかったよ?!」
       
「えーと、その辺にしてそろそろ行かなきゃダメじゃない?」
「元凶に言われても返す言葉がねえよ。」
 
 
ダ○エーと書かれた紙袋から何やら怪しげな衣装が出てくる。
隣で銀時は俺コレにするわ、と言いながらフランケンシュタインと見紛う真っ白い包帯を顔に巻き始めた。
 
「変装する意味とかあんの?」
「バーロー。向こうには顔が割れてるんだよ。」
「某探偵漫画のような受け答えをしないでくれるかな。」
 
「じゃあさ、わたしは変装する必要ないよねえ。」
「何でお前付いてくることになってんの?」
    
「拒否するなら家ぶっ壊すけどいい?」
 
 何かを言おうとしたのだろう。口にしかけた言葉を飲み込むようにして銀時が押し黙る。

「・・・とりあえずこれな。こういうのは一体感が大切なんだよ。」
 
 手渡されたのは杏色の巫女服のようなもの。中国産品質なので素材はあまりよろしくないようだ。ペラペラである。
いかんせん身長が小さいのでずりずりと裾を引きずってしまいそうだ。
       
よし着替えよう、と意気込んだところで神楽ちゃんに、此処で脱ぐなよと言われた。危ない危ない。
 
「・・・わー。」
 
トイレの鏡で全身を見る。巫女さんなんぞ元の世界でも着たことないっちゅーか触れること自体が少なかった。
お腹の紐をきゅっと締めた。いつもと違う服装に着慣れないぎこちなさを感じた。
 
 
気を取り直して、いざ出陣!