二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: KAMISAMA!【銀魂】 ( No.6 )
日時: 2012/01/22 17:32
名前: 千鶴 ◆iYEpEVPG4g (ID: WPJCncTm)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

      
02 【無題という名のタイトル。無題というのはテーマが無いことだからタイトルがあるのはおかしい。しかし無題という名がテーマなのだからテーマの無いテーマというものを追求してみてはどうだろうか。テーマのないテーマこそがタイトルである。無題こそがテーマでありそのものの中身なのだ。つまり無題というタイトルにはそういった深い意味が込められており・・・・】


          
 
「・・・と、言う訳なのだよ銀時くん。だからですね、この写真の落書きの意図にはふかーいまるで深海のようであの澄み渡る青空のような広大さを持っているのですよ。あーゆーおーけい?」
「その文章から何が理解できんだよ!!アホか!お前はアホか!」
                
 きゅるきゅる、と小気味良い音がペン先で鳴る。
あかねの視線の先には白髪頭の男の写真———言わずもがな、銀時が映っている。安っぽいプラスチックの写真立てに飾られた貧相なそれには、その白髪頭を囲うようにしてふたりの人物が映りこんでいた。
                    
一人はオレンジ色の鮮やかな髪の色をした十四、十五ばかりの女の子。一人は黒い眼鏡を掛けた真面目そうな青年だ。
尚更、銀時の生気の無さが際立つ一枚である。死んだ魚のような目が、いかにも面倒そうにレンズを見つめているのがありありと脳裏に浮かぶ。
              
楽しそうで、良かった。
きみは変わらないね、と、心のどこかで嬉しさを感じる。
   
           
          
 話を戻そう。わたしがこの手にある油性ペンで何をしていたのかと言うと。
無論、落書きである。銀時の写真を見つけたので鼻毛ボーボーのモヒカンにしたかったのである。
           
当たり前である。
               
歴史の資料集で偉人ヘアーバリエーションを学び、国語のモノクロ作者写真でいかにして原型を崩さず間抜けな顔に出来るかを学んだ。
死角無しと思われた。が、音楽作曲家の壁は高く、今に至ってもバッハのあの髪型はどうにもハイレベル。恐るべきバッハ。ああ銀時何かお前バッハに似てるんだよむかつくんだよどちくしょー。
                    
・・・ここまでやり遂げてきたこの技術を無駄にする訳にはいかない!と、胸の内で何かが叫んだのだった。
写真立ての枠の一番上に、「無題」と、図々しいを通り越して清清しいようなタイトルさえ書き込んである。
               
「力作!天才!ピカソの才気!てか銀時、どっから沸いてきたの?」
「むしろお前が沸いてきた側じゃね?むしろ何でここに居るの?と言うか何でお前存在してんのって所から始めね?」
              
 背後から銀時の声が掛かる。
おかしいなァ、ちゃんと鍵は閉めた筈なのにと振り返れば、ドアがすっぽり消えている。
            
「えーと・・・・・・ドア壊した?」
「うん壊したァ!お前に引きこもられたお陰でこんな立派なドア撤去しちゃった!」
               
 フローリングの廊下が心なしか寂しそうだ。きっと銀時のことだから廊下に出たらぼろぼろの半死に掛け状態のドアがすぐ隣に放置されていることだろう。
          
「あはは!昔っからそういう負けず嫌いな所あるよね。元気そうで何より、子供は元気が一番!」
                  
「誰が子供だよ。つーかもう帰れ!」
「わたしから見りゃじゅーぶん子供ですう。あんたが乳臭いガキの頃から世話してやってたのは誰だと思ってるんだか。」
            
「俺もババアは年相応の服を着るべきだと思うなァ。」
「誰が———ババアだって?」
              
 冷たいふたつの瞳が鈍く煌いた。
あ、と後悔したも虚しく時既に遅し。眠れる獅子を目覚めさせてしまったのだ。
「ババア」とは、数少ない彼女の禁句である。
              
まな板だろうが詐欺女だろうが阿呆だろうが馬鹿だろうが大抵の事はどうでもいい。
ただし、だ。
          
こんな綺麗なお姉さんを、ババアと呼ぶことだけは絶対に許さない。
         
「3秒以内に撤回すれば許そうと思ったけど、やっぱり面倒。」
         
 そんな理不尽な!
      

ごん!という金属か何かを思いっきり叩き付けたような音を皮切りに、高い悲鳴が轟いた。