二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ジョ−カ−の国のアリス ( No.45 )
- 日時: 2012/01/08 17:05
- 名前: 隼子 (ID: 4VqnCBRY)
- 参照: http://pasusitai
第八話「花見」
甘い香り、柔らかな風。私が滞在させてもらっているハ−トの城の様子だ。
今、私は花見をしている。ぺ−タ−、ビバルディ、エ−ス、メイドさん・・・・・・それにユリウスも。
なぜユリウスがハ−トの城の花見に参加したのかというと、この前、クロ−バ−の塔に行ったのに結局会えなかったので、私が誘ったのだ。
今は花見をしている真っ最中だ。見事に咲き誇る桜の花が、風に舞いひらひらと落ちている。桃色の雪みたいでとても綺麗だ。
ビバルディ「おや、花びらが付いておるぞ?取ってあげる」
そう言い、ビバルディは私の髪に付いた花びらを丁寧に取ってくれた。
「ありがとう、ビバルディ」
ビバルディ「ふふふ・・・おまえは、ほんに可愛いことを言うね」
ぺ−タ−「陛下!これ以上彼女に触れるのは止めてください。彼女に触れていいのは僕だけなんですから!!」
ぺ−タ−は私の隣に座っているビバルディを睨んでいる。
ビバルディ「・・・・・・・」
「また、あんたはそういう変態発言をして・・・・・」
顔だけはいいと思うのに・・・・残念な男だ。
エ−ス「そうだぜ、ぺ−タ−さん?そんなこと言うと俺まで引いちゃいそうだ!あははは」
ぺ−タ−「いいですよ。気にしませんし、前々から鬱陶しいと思っていたところですし、ここで始末してあげます」
ぺ−タ−はにっこりと言い切り、エ−スに銃を向けた。銃を向けられているというのにエ−スは全く動じない。むしろ喜んでいるように見える。
エ−ス「ははは、怖いなぁぺ−タ−さんは」
そう言い、エ−スは剣を抜く。そしてぺ−タ−は引き金に人差し指をかける。
パンパンパン!!
ぺ−タ−が何度もエ−スに向けて銃を撃っているが、これだけ近い距離で当たらないエ−スも凄いと思う。普通はここまでひょいひょいと避けられないはずだ。
(・・・・・あ、感心している場合じゃなかった)
ビバルディ「誰か、こ奴らの首を刎ねろ!!」
メイド「お言葉ですが・・・私達ではホワイト卿とエ−ス様は無理かと・・・・・・・」
ビバルディ「ええい!使えない奴らじゃ!!これでは花見を楽しむどころではない・・・!」
ビバルディの言う通りだ。今はそんな状況ではない。今にも流れ弾が飛んでくるのではないかと気が気じゃない。
ユリウス「はぁ・・・・・お前も大変だな。こんな奴らと暮らしていて疲れないのか?」
ユリウスが心底疲れた様な顔で聞いてくる。
「ええ、まあ・・・それなりには疲れているけれど、なんだかんだ言っても、皆いい人達よ」
ユリウス「・・・・・そうか。今度のサ−カスでも騒ぎにならなければいいが・・・」
「え?」
(今度のサ−カス・・・?)
ジョ−カ−の国に変わってからもう何十時間帯と過ぎているが、近々サ−カスがあるとは聞いていない。
ユリウス「まだ聞いていなかった様だな。あと数時間帯するとサ−カスを見に行かなければならない」
「それはル−ルなの?」
ハ−トの国の時の舞踏会や、クロ−バ−の国の時の会合・・・・。それらは全て役持ちは参加というル−ルがあった。サ−カスがそれと同じなら行きたくなくても参加しなければならないのだ。
ユリウス「ああ、ル−ルでなければジョ−カ−とは会いたくない」
「どうして?ジョ−カ−は変な格好だけど、親切でいい人よ?」
嫌うようなところなど無いはずだ。それなのに、ユリウスはお勧めしないという顔をする
ユリウス「おまえなら大丈夫か・・・・」
ユリウスはぼそっと小さな声で呟いた。
「?」
ユリウス「・・・ああ、いい忘れたことがあるんだが、サ−カスへ行くには、自分の住んでる季節から行く。早めに変えておいた方がいいぞ」
私が行くなら春だろう。
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時間帯が変わり、花見も終わった。
今、私は季節を春に変えてもらうために、サ−カスの森を歩いている。ジョ−カ−を探してきょろきょろと周囲を見ていた。
(・・・・・・え?)
周囲を見ていただけなのに、なぜか急に視界が暗くなった。おかしいと思い、瞬きするとそこにはさっきまでとは全く違う空間が広がっていた。さっきまで歩いていた土の感覚はもうここには無い。ここに広がっているのは、どこまでも続く檻と足元の玩具。
もう一度瞬きしたら元の森に戻った。
「あれ?・・・・・さっきのは・・・」
「どうしたの?変なものでも見た?」
いつの間にか、ジョ−カ−が私のすぐ横に立っている。ふらりと現れたので全く気付かなかった。
「いいえ、・・・・何も」
さっき一瞬だけ見えたあの場所は一体何だったのだろうか。ただの夢かもしれない。きっとそうだ。
「そう?ならいいけど。今回のエイプリル・シ−ズンは君もいるんだ。どんなことをしても楽しませてあげるから、君も一生懸命見て楽しんでよ?」
ジョ−カ−は悪戯を企んでいる子供のような顔で笑っている。きっと何か只ならぬ事がサ−カスで起こるだろう。