二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ジョ−カ−の国のアリス ( No.5 )
日時: 2011/12/27 12:45
名前: 隼子 (ID: f4Q8EoDG)
参照: http://pasusitai

第一話   エイプリル・シ-ズン  (嘘つきの季節)




  チュンチュン・・・・


外から小鳥のさえずりが聞こえてくる。その音で目が覚めた。
「・・・・・・」
布団をかぶっていたのに少し肌寒い。普段は暑くも寒くもないのに。
 この世界に来てからこんなことは初めてだ。気になって窓から外をのぞいてみた。
「っ!・・・何で?」
寝る前の景色とは余りに違いすぎて驚いた。外には綺麗に咲き誇る桜の花。それに薔薇以外の花が咲いていた。チュ-リップ、スズラン、スイセン、マ-ガレット、アルメリア・・・・・と、まだまだ沢山の花が咲いている。まるで春のような景色。
(綺麗・・・・)
元いた世界のことを思い出す。
(あれ?でもこの世界には季節なんてなかったような・・・)
この世界には四季はなかった。多分この世界で何らかの変化があったはずだ。前の「引っ越し」というもので、前まであった遊園地と時計塔が消えてしまいそこに住んでいたゴ-ランドと、ユリウスが2つの建物とともに消えてしまった。
その代わりに遊園地の跡地に森が出現し、ピアスというネズミの耳と尻尾の付いてる少年が森に居たり、時計塔の跡地にクロ-バ-の塔が出現し、夢魔の領主ナイトメアと、その補佐官を務めているグレイがクロ-バ-の塔にすんでいたりと、色々あった。
(あの時は大変だったわね・・・)
自分に言い聞かせてしまうほど大変だった。
しばらく外を眺めていた。



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バタン!!


「アリス!!!」

すごい音が聞こえたかと思うと私の部屋の戸が開けられていた。
いきなり音がしたのでかなりビックリした。
「な、なに!」
「アリス!!」
誰かと思えばぺ-タ-だった。白い髪の兎耳がついた青年だ。整った顔つきで丸い眼鏡をかけている彼は、ハ-トの城の宰相様。地位のある兎さんだ。
「なに?」
そして・・・
「ああ!!僕の愛しい人!!いつもきれいですが寝起きのあなたも素敵です!!女神のように美しい・・・・いいえ女神よりも美しいです!!!!」
私のことを女神だとか言う彼は頭がおかしい。
「はいはい・・・・。それで何しに来たの?」
 「!!そうでしたっ!実はエイプリル・シ-ズンが到来しました!」
ぺ-タ-はにこにこしている。何かいいことでもあるのだろうか。それより・・・。
「エイプリル・・・・シ-ズン??」
「知らない・・・ですか?」
「ええ。エイプリル・フ-ルならわかるけど」
「エイプリル・シ-ズンとはそんな季節のことです。」
「嘘をついてもいい季節のこと?」
「そうなんです!」
そんな季節があるとは驚きだ。でたらめな世界だからアリなのだろう。
「ねえ、さっきから気になっていたんだけど春よね?」
「ええ。そうですよ。ここは春です。」
「?」
何か引っかかる。
(ここは?)
ここはということは他の場所は違うのだろうか。
「ここはそうでも他は?」
「他は違う季節ですよ。」
「・・・・・・」
(違う季節・・・)
「ちょっと行って来る」
「?・・・どこにですか?」
「みんなのところに行ってくるわ。すぐに帰ってくるから待ってて」
そう言い残し、私はみんながちゃんといるか、1人でもかけて、居なくなっていないか確かめるため不安だが、私はハ-トの城を後にした。