二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ポケモンの】一つの花から生まれた子【短編集です】 ( No.150 )
日時: 2012/05/05 20:20
名前: 桜咲 紅葉(元:ピアニッシモpp) (ID: uwZWw1uD)

>>149を小説にした
ついでにサイトからコピペ


8月8日、午後12時30分
今日はすごく天気がいい
病気になりそうなほど眩しい日差しの中、
私はレッドさんと駄弁っていた

「レッドさんはどう思いますか?」
「俺は……だな!」
「そうなんですか?」
「でもまぁ夏は嫌いかな」

レッドさんはピカを見ながらふてぶてしく呟いた

「ピッカァ!」
「ピカ!」

飛び出したピカの後を追いかけて
キキィィィィィィィ

「レッドさん!」

飛び込んでしまったのは赤に変わった貴方だけ
バッと血しぶきが飛び散り、貴方にもかかってあたりを飛び回る
血しぶきの色とレッドさんの香りが混ざり合った

「うっ…」

迂闊にもそれを見た私はむせ返った

「嘘…ですよね…?」

嘘のような陽炎が

「嘘じゃないよ」

って言って笑ってる
夏の空の水色、それをかき回すような蝉の音
視界の全てが消えた


目を覚ますと時計の針が鳴り響いた

「今…何時?」

ポケギアを見ると8月7日の午前12時過ぎをさしている
やけに煩い蝉の声を覚えていた

「レッドさんはどう思いますか?」
「俺は……だな!」
「そうなんですか?」
「でもまぁ夏は嫌いかな」

でも…不思議だね
同じ公園で

「ピッカァ!」
「ピカ!」

あ…れ…?
これどこかで…
昨日見た夢を思い出した

「レッドさん、モンスターボールです」
「あ、そっか」
「ピカピ」


ピカはモンスターボールに戻った
これでもうレッドさんは死なない

「レッドさん、もう帰りましょう」
「そうだな」
「こっちの道は最近危ないらしいのでこっちを行きましょう」
「ああ!」

道を抜けたとき
周りの人は皆上を見上げ口を開けていた
そしてスッとレッドさんが前に行く
落下してきた鉄柱がレッドさんを貫いて突き刺さる

「きゃあああああああ!」
「レッドさん!」

つんざく悲鳴と

チリーン—チリーン—

風鈴の音が木々の隙間で空廻り

「夢…だよね?」

ワザとらしい陽炎が

「夢じゃないよ」

って笑ってる
眩む視界に貴方の横顔、

「…(微笑」

笑っているような気がした


何度世界が眩んでも

「ハハハ」
「レッドさん!」

陽炎が笑って奪い去る。
繰り返して何十年。
もうとっくに気が付いてたよ。
こんなよくある話なら結末はきっと1つだけ。
繰り返した夏の日の向こう。

「ピカ!」
「レッドさん…!」

バッと押しのけ飛び込んだ
瞬間トラックにぶち当たる
血飛沫の色、貴方の瞳と

「イエロー!」

軋む体に乱反射して
文句ありげな陽炎に

「ごめんなさい」

って笑ったら

「あ…」

陽炎が泣いていた
実によく在る夏の日のこと。

「イエロー………!」
「—!?」

レッドさんは泣いても笑ってもいなかった
そんな何かがここで終わった。




目を覚ました8月7日のベッドの上
少年はただ

「またダメだったよ」

と一人、ピカを抱きかかえていた