二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン ずっと仲間だからな オリキャラ募集!! ( No.14 )
- 日時: 2011/12/21 19:49
- 名前: サキ+mai (ID: jIh6lVAe)
第五話 サッカー部、入部?
「純也、あのさ……」
あたしはズンズンと純也に歩みよる。
田尾純也。彼は、あたしの友だち。軽いノリの人で、自分のことは「俺っち」ってよぶし、男の人のことは「〜の旦那」、女の人のことは「〜の女将」ってよぶの。
純也は、あたしのこと男の子って思ってるから、「旦那」ってつけてるんだ。あたし、運動系ならなんでも得意だから、野球やってたら、純也と知り合ったの。それからずっとのつきあい。いっかいだけ、雷門中の方に来たことがあったんだ。
それ以来かな。ずっとメールとかでやりとりしてたんだよね。
あたしは、純也にコショコショッと耳打ちをした。
そしたら純也ったら、病院なのを忘れてかわかっていてか、
「えぇっ、なんだって!?」
と大声を!! あたしは純也の口をふさいだ。いかん、いかん。すっかり純也の性格を忘れてた。
純也はなんでも思ったことをハッキリ言うタイプ。こんな奇想天外なこと言ったら……いや、奇想天外でもなんでもないけど、こんなこと言ったらさけぶに決まってた。
「おねがいだからしずかに! 患者さんいるじゃない、目のまえに!」
あたしはまんまえを指さす。そこには、あぜんぼうぜんという感じで立っている、雷門の人たち。
「にしても、おどろいだよ、純也が入院だなんて」
純也は、雷門中に通っていたんだけど、ほら、きょうエイリア学園だのなんだのがやってきて、校舎まるごと破壊しちゃったじゃない?
それの被害で、純也が入院したらしいのよ。雷門に忘れ物があって、それをとりに行ったら、やつらが襲撃してきた。
……って、メールに書いてあった。実際に聞いたわけじゃない。
「あのさ……」
円堂さんがなにか言いかけた、そのときだった。
ゆっくりととびらが開いて、看護師さんが入ってきた。
「海璋さん、あのですね……」
看護師さんはあたしに寄ってきて、ボードを見せると、いいですか? と聞いてきた。
「わかりました。あのさ、ごめん、ちょっと用事できたから、行くな」
あたしはそう言って、純也に軽く手を上げた。円堂さんたちには、ペコリとおじぎをして、その場を去った。
別病室
「入るよ」
あたしはそう言って、とびらを開けた。その中にいたのは、茶色い髪をツインテールにした女の子。
「あっ、お兄!」
ツインテールの女の子は、ぱあっと顔を明るくさせる。
そう、この子はあたしの妹、愛羅(あいら)なんだ。
「待ってたよ!! ほんっとにおそいんだから」
ぷうっとほおをふくらませる愛羅。
「だいたい、お兄はシス……」
「だまれ愛羅。ここで言うか?」
まったく、愛羅まで口がたっしゃなんだから……。ほんとこまる。
にしても、ここの病室はほんっとしずかだな。どうなってるんだろ。ま、いいとして。
と、思った瞬間だった。
ガラッといきおいよく、とびらが開いた。
見れば、なんとそこには円堂さん!! えぇっ、いったいどういうことだ!?
「円堂さん!? いったいどうしたんですか?」
「はあ、はあ……。おまえ、サッカーやってみないか!?」
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………へ?」
思わず何十秒も間が開いた。いや、いきなりサッカーの話し!? その根拠はいったいなんなのでしょう!?
「えっと、あの……」
「やっちゃえ、サッカー!!」
楽しそうに言ったのは、愛羅。こうやって超元気だけど、足の方がいまのところやばいらしくて。いま治療を受けつつも入院中。元々田舎の方の病院だったけど、あたしの転校を機に、雷門病院に、って。
「お、おい、愛羅……」
「やっちゃえ、サッカー! どんどんサッカー!」
なんなんだ、愛羅……。たしかに、あたしも愛羅もサッカーは大好きだけど、でも……
「なあ、やってみないか?」
「あの、で、できますけど……」
「けど?」
「顔がすんごぉ〜っく近いですっ!!」
あたしと円堂さんの顔のきょりは、だいたい二センチくらい。もうすぐで鼻と鼻がかすれそうなくらいだ。
「あ、悪ぃ、悪ぃ」
円堂さんはどくと、「じゃあ外に行こうぜ!」と言った。
あたしはコクンとうなずいて、円堂さんについていった。
(なぜかは不明だが)河川敷
「あの、どういう試合形式にしましょう?」
あたしが言うと、円堂さんはあっさりこう言った。
「オレからゴールをうばえたら勝ちな! それでいいかー?」
「え……あ、はぁーい」
ムリムリムリムリ! だってあたし、技使えないし!! だいたい、ゴットハンドをやぶる技とは!?
ハッ。そうだ、技があれば必ず勝てるってわけじゃないんだ。ようし、やるぞぅ。
「じゃあ、いきます!」
あたしはボールをけりながら走り出した。あたしは、運動の中でいちばんサッカーが大好きなんだ。でも、ほかの運動にくらべて、そこまで上手じゃない。
あたしはゴールまえにいる円堂さんの足のあたりをひたすら見た。右に体重をかけてるか、左に体重をかけてるか……。
右だ!!
あたしは、ゴールまえのラインで、ボールを強くけった。
ボールは空を切って、ゴールのネットに向かう。最初は右側に向かっていたボール。円堂さんも右足の方に体重をかけていたから、そちら側に動いた。でも——
ボールは左に方向を変えはじめた。きれいに弧を描き、ゴールのネットにつっこんだ。
円堂さんは、「ぼうぜん」よりも、「すげえ、もっとやりたい!」という感じだった。
「……あの、ひとつ、言いたいことがあります」
「なんだ?」
「えっと、あの……………………………
サッカー部に、入れてもらえませんか?」
円堂さんはおどろいたようだったが、じっとあたしを見つめて、
「ああ、もちろんだ」
と言ってくれた。
あたしはギュッと胸のまえで手を組んで、
「海璋解羅といいます。ここで言うのもおかしいかもしれませんが、いちおう女子です。よろしくおねがいします!」
と言って、おじぎをした。