二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【少年陰陽師】虚空を駆ける星の如く ( No.19 )
日時: 2012/01/02 14:51
名前: 光彩 (ID: 2Qew4i4z)

【第十一話】

「そーらー」

「なぁに、おにいちゃん」

たどたどしい口調で答えたのは三つか四つの幼子だ。

その白銀の髪は、沈みゆく夕陽に照らされ、きらきらと輝いている。

「巫女さまが、はやくもどってきなさい、って」

兄と呼ばれた人影が、少女の手を引く。

「はぁい」

少しだけ不服そうな顔をして、少女は歩き出す。しかし、それはすぐに笑みに転じた。

「あのね、おにいちゃん、さっきね______。」

      *     *     *

ゆっくりと、少女は瞼をあけた。差し込む朝日が眩しい。

夢だ。忘れかけていた、幼い記憶。

ふと横を見やると、知らない女性がすぐ傍に佇んでいた。

金の髪を優雅に結い上げた、儚げな雰囲気の……ん?

彼女は慌てて身を起こした。誰だこの人。あれ、でも見覚えがある。

おそるおそる彼女は口を開いた。

「あの、もしかして昨日…」

「市で、お会いしましたね」

やっぱり、と彼女は頷いた。あまり見かけない風貌なので、印象に残っていたのだ。

だが、次の瞬間すっかり忘れていた疑問が頭をもたげてきた。

「あの、ここって、一体どこなんですか、あ、あとあなたは誰…」

「ここは、安倍清明様のお邸です。私は、十二神将天一と申します」

……。要するにここはあべのせーめーとかいう人の邸で、この人は

十二しんしょーの天一という人で、この人が自分の隣に付き添っていた、ということらしい。

よく分からない単語が頭の中でぐるぐる回っているが、もうこの際気にしない。

なので考えるのをやめて、彼女はとりあえず名乗ることにした。

「あの、私、空っていいます。なんか、お邪魔してしまったみたいですいません」

そういって、空と名乗った少女は曖昧に苦笑した。

少しだけ首を傾けた彼女の白銀の髪が、朝日を受けてきらりと輝いた。



    +       +       +
各話をどこで切ればいいのか分からないという
悲劇的な何か(笑)。
やっと主人公でてきた……