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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【少年陰陽師】虚空を駆ける星の如く ( No.5 )
- 日時: 2011/12/24 15:26
- 名前: 光彩 (ID: 2Qew4i4z)
【第二話】
今日は露樹に頼まれて三条の市に買い出しに来ている。
だが実は、ここのところ晴天続きで彰子はちょくちょく市に顔を出していた。
ただ、昌浩には内緒にしている。彼は、彼女が市に行くと時に大袈裟な位心配するのだ。
しかし、それを少し嬉しく感じるのもまた事実だ。
「彰子様、どうなさいましたか」
声が響く。十二神将天一のものだ。今日は護衛として彰子の傍についている。
「ううん。何でもないわ。ただ……。」
彼女は当代一とも評される見鬼だ。その力が、彰子に何かを告げていた。
「今、誰かが見ていたような___。」
彰子が背後を顧みる。天一もそれにならう。
___少女がいた。漆黒の衣を纏った白銀の髪の少女。
天一は瞠目した。まったく気づかなかった。
神将である自分に感じさせないほど彼女は完璧に気配を絶っていたのだ。
晴れ渡る青藍の空にふわりと佇んでいた少女は、一瞬だけこちらを見据えた後、
漆黒の裾を翻して虚空に消えていった。
天一は訝しげに目を細める。今のは一体何者なのだろう。
悪意や敵意は感じられなかった。だがしかし。
少女の群青の双眸は、どこか切なげだった___。
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