二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第一章 口ぽかーん ( No.3 )
- 日時: 2011/12/23 17:54
- 名前: るい (ID: jIh6lVAe)
?「天馬、おはよーっ!」
知っている大声に気づくと、天馬はふり返った。
そこには案の定、同じサッカー部の部員であり、クラスメイトの西園信介がいた。
天馬(以下「天」)「信介!! おはよーっ。」
信介(以下「信」)「もしかして、天馬、サッカーの練習してるーっ?」
天「うん! だって、きょうは休みだけど、練習試合が近いでしょ? だから!」
天馬が言うと、信介ははりきってこう言った。
信「じゃあ、ぼくもつきあうよ!」
信介はそう言って、斜面をすべり降りると、天馬にかけ寄った。
天「いいよ、やろう!」
信「じゃあきょうはさ、基本のパス練習からしよ! 基礎は大切だもんね!」
天「分かったっ。」
天馬と信介は、一定のきょりをとる。それを、橋の上から黒い影が見ているなんて、誰も想像しない。
天「じゃ、行くよーっ。」
信「うん、こい!」
信介の声を聞き、天馬がボールを蹴り、ふたりの間にボールがきた、そのときだった。
あの黒い影が動いたのだ。
ふたりの間で宙に浮いているボールを、影は足にかけ、足が地面につくまえに、天馬に蹴った。
天馬は一瞬で、自分のこれからやらなければならない動きを判断した。はじめの〇.八秒ほどは、おどろきでこうちょくしかけていたが、サッカー部に入っているだけあって、ボールの動きにはびんかんである。
天馬は空にボールを蹴り、落ちてきたボールを手で受け止めた。
?「うんっ、じょうずになってんじゃん!」
影は満足げな声を出した。
影の正体は、天馬たちとあまり年は変わらないくらいの少年。ひたいのまん中で分けられた茶髪は少し赤茶色にも見える。おさない顔立ち、少し焼けた肌、まっすぐな茶色混じりの黒いひとみ。
天(あれ? この目、どっかで見たことある気がするんだけど……どこだっけ。)
天馬が考えこむようにアゴに手をあてているようすを見て、少年は大きなため息をついた。
?「やっぱりおぼえてねえんだ、ちょっとショック。」
天「いや、その目に見覚えがあるんだけど……。」
信「えっ、天馬、知りあい? でも、いきなりボールを蹴ってくるなんて、ちょっと危なくない? もしあたってたら、天馬、ケガしてたかもしれないし。練習試合が近いんだよ?」
?「あー、その心配はきっとない、って思ってやったから。」
彼があっさりこたえた、そのとき、
天「あっ!」
と、天馬が声をあげた。
?「思い出した?」
天「え、似てる人は。……う〜ん、でも、その人、女の子だったしなぁ……。」
?「名前言ってみて?」
天「うん、サクラっていう女の子だった。」
?「アハハハハハハハッ。」
いきなり笑われて、天馬は少しおどろいたが、ハッとした。
天「ま、まさか、ほんとにサクラ?」
?「なんで?」
天「だって、「ハ」が七つだったし……サクラも七回「ハ」って言ってたから。」
?「うわー、よくそんな細かいとこまで見るね。でもアタリ。たしかにオレはサクラって名前だったぜ。」
信「でも、男の子じゃん。」
信介はムスッとした顔で言った。まだ、天馬にいきなりボールを蹴ったことを怒っているらしい。
?「あははっ、ダメだ、まだ笑いが止まらない……。じゃ、自己紹介ね。オレの名前は白咲ガイ。またの名をサクラだ。天馬と会ったときは、女装してたからな。」
ガイは平然とした顔で言った。天馬は口をぽかーんと開けて突っ立っていた。信介もあの怒りを忘れて、口ぽかーんだ。
ガ「おー、そこまでおどろいてくれると、こっちも言ったかいがあったや。ま、いいとして。天馬!!」
天「わっ、な、なに?」
ガ「おまえ、超サッカー強くなってるじゃん! 尊敬した!」
ガイは天馬の背中を、バシバシと強くたたく。
天「いたたたたたた、いたい、いたいんだけど、ガイッ。」
天馬のいたがり方は、ハッキリ言ってハンパじゃない。信介は天馬のようすを見ながら、少し困った顔をした、そのときだった。
?「天馬?」
橋の上から声がした。
Dr.クロさん、投稿ありがとうございました!! これからよろしくおねがいします!