二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黒い仮面の白いカラス【REBORN】 ( No.1 )
- 日時: 2011/12/23 19:52
- 名前: 村崎 紫 (ID: leOS3oG6)
№1 ロッソ・フィオーレ<転校してきちゃいました>
「イタリアから転校してきました」
時は朝方。寝ぼけ眼の少年は、張りのあるやや低めのに目を覚ます。
彼の名は沢田綱吉、通称ツナ。普段は『ダメツナ』と謳われるほどだが、実は『ボンゴレファミリー』というイタリア最大手マフィアのボスの後継者である。
そして同じく目を覚ますツナの後方の机に座り、頬杖をつく少年・獄寺隼人、そして前の席の山本武。彼らも沢田綱吉率いるボンゴレファミリーの一員である。
三人を含む並盛中二年A組の教壇に立ち、中年の教師と並ぶも真逆な小柄な少年。
「ロッソ・フィオーレです。宜しくお願いします」
深々と頭を下げたのは、イタリアから来たという転校生。
少し開いた窓から吹く風に、真っ黒な髪が靡く。ツナは物珍しそうな目でロッソを見つめていた。
見れば見るほど吸い込まれそうになる黒い目。彼の容姿から、外国人とは思えないくらいだ。
「フィオーレは、山本の後ろに席を置いてるからな」
「はい」
今にも閉じそうな目蓋を必死に広げ、山本は手招きする。それにつられる様に、ロッソは足を進めた。
机と机の間を通り過ぎると、ほのかに香る花のような落ち着く匂いが付いて行く。誰もが彼を目で追いかけずにはいられなかった。
席に着くと同時に、後ろを向く山本。先程の眠そうな顔とは裏腹に、とても爽やかな表情をしている。
「よろしくな」
「……あぁ」
少しの相づち。直ぐに山本は前を向いた。
その時。
「……十代目?」
ツナが身震いした。目は驚いたように開ききり、顔面蒼白。
獄寺が心配し、様子を窺う。教師は気がついていないようだ。
「いや、大丈夫だよ……ちょっと悪寒が」
頬を冷や汗が伝う。獄寺は名残惜しそうに黙り込む。
朝会は直ぐに終わった。それと共に、ロッソには生徒が、ツナには獄寺や山本が群がった。
「ロッソ君、人気みたいだね」
「それより、大丈夫なんですか?」
「うん。すぐ治まったから……」
そう話していると、人影が歩み寄ってきた。
黒い髪、黒い瞳、並中以外の制服。
「大丈夫?」
「え? ああ、うん」
紛れもない、ロッソだ。山本と獄寺の間から、ツナの顔を覗き込んだ。
少し驚いて後ずさりをしそうになったが、質問には普通に答えた。
「そっか、だったらよかった」
少し微笑んで見せて、どこかへ立ち去ろうとしていた。
振り返り際、山本は見逃さなかった。
嘲笑う様に笑う目と恐ろしく上がった口角を——。