二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 儚く消へるは鬼の夢 ( No.17 )
日時: 2012/01/03 13:29
名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)

伍話 「茶屋」


?「千鶴はんっ」
千鶴「千緒さんっ!」

屯所の門前を見ると、千緒が居た。
紫布の着物を着ていた。
前回見たよりも地味な格好だったが、顔にある笑みは変わっていない。
金色の綺麗な髪を二つに分けて下ろしている。

千緒「久々に島原抜けてきてん。遊びに来たで♪」
千鶴「私、今お洗濯していたの。もう少し待って!」
千緒「勿論どす。ゆっくりどうぞ。あ・・・それと千鶴はん。あんた、女で間違いなか?」

千緒が唐突に聞いた。
問いを聞いた千鶴の肩が一瞬ぴくっと動く。

千緒「なんだ、やっぱりそうなんどすね。良かったわ〜」
千鶴「う・・・うん、まぁね」

千緒は気にもせず優しく笑う。
千鶴は冷や汗を垂らしながら苦笑した。

土「おい千鶴、もう良いからそいつと茶でも飲んで来い」

千緒が来てから約10分。
一向に洗濯が終わりそうもない千鶴を見て、土方が呆れ半分に言った。

千鶴「で・・・でもっ」
土「良いから!」
千鶴「はいっ」
千緒「さ、千鶴はん行きましょや。お勧めのお店がお有りんす」
千鶴「本当?楽しみだなっ」

千鶴は明るい笑みを浮かべる。
その笑顔を見て、千緒も笑う。
そして、千鶴と千緒はある茶屋に来た。

千緒「店主、お抹茶とお茶菓子2つずつ頂戴な」
店主「はいよ〜。あんた珍しいね、友達と一緒に来るなんて」
千緒「まぁね」

千緒が苦笑する。
すると、店主が大きな声で笑った。

千緒「此処のはとっても美味しいんどすえ」
千鶴「こんな所に御茶屋さん・・・」
千緒「初めて来た人は皆そう言うんよ」

千緒がけらけらと笑う。
今2人がいる茶屋は、屯所のすぐ近くにあったが、店の看板も無く、家のようだった。
いわゆる、知る人ぞ知る隠れ茶屋だ。

店主「はいよ。何時ものを2つだよ」
千緒「おおきに」

千緒を礼を言って受け取ると、千鶴との間に置いた。

千緒「綺麗やろ?ほら、食いなされ」
千鶴「ありがとう。じゃぁ・・・頂きます」

千鶴は、あむっと茶菓子を口に含む。
そうして抹茶を飲んだ。

千鶴「美味しい・・・」
千緒「せやろ?此処のは絶品や」

そう言うと、千緒も茶菓子を食べる。
その様子を、後ろから誰かが見ていた。
2人はその視線には気が付かなかった。


  【続く・・・