二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 儚く消へるは鬼の夢 ( No.18 )
日時: 2012/01/04 09:36
名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)

陸話 「奈都千澪」


千鶴と千緒の少し後ろで誰かが席を立つ。
そして気付きもしない2人に近寄る。
2人が知っている者と確認し、声を掛けた。

?「千鶴ちゃんに・・・千澪(チレイ)?」
千鶴・千緒「!?」

声を掛けられ、同時に振り向く。
そこには、偶然にも程があるほどの人物が居た。
千だ。

千緒「・・・」
千鶴「又会ったね、お千ちゃん」
千「ええ、本当偶然ね・・・。それより千澪、何で貴女が此処に?」
千鶴「ねぇお千ちゃん、千澪・・さんって誰?」
千「え?千鶴ちゃんの隣に居るこの人よ」
千鶴「え・・・でもこの人は【千緒】さんだよ?」
千「はぁ・・・。千澪、あんたねぇ・・・」
千緒「千鶴ちゃん、私の本当の名前は【千澪】よ。【千緒】は舞妓をやっている時の名前なの」
千鶴「えぇぇぇええええええ!!??」

千鶴はたいそう驚いた様子だ。
千と千澪はそんな事は気にせず睨みあっていた。
途端に千澪が表情を崩して笑顔を見せた。

千澪「お久し振りですね、千姫様?」

千澪の顔は愛想笑にも見えた。
一応挨拶をした千澪に、千も一応挨拶を返す。

千「ええ、本当に久し振り。今まで何処に行っていたの?」
千澪「別に何処にも。ずっと島原で舞妓をしていましたが」
千「途中でお菊に会わなかった?」
千澪「君菊の事ですか?そういう人が居るとは聞きましたが、面会まではしてませんよ」

互いを探るように言葉を交わす。
そんな会話に千鶴はついていけなかった。
一通りそんな会話が終わって、最後に千が聞いた。

千「貴女・・・苗字は何だったかしら?」
千澪「奈都(ナミヤコ)・・・奈都千澪ですよ、千姫様。忘れました?」
千「いいえ・・・。確認しただけ」

千は深く考えこんで店を出て行った。
千鶴はその時、ようやく千澪に問うた。

千鶴「あの・・・千澪・・さん。貴女、鬼なんですか?」
千澪「ええ、当然よ。千姫様と話をしていれば分かるでしょう?」
千鶴「はぁ。。。まぁ。」
千澪「今日はこれでお開きにしましょうか。日が暮れてしまいそう」
千鶴「そうですね。それでは。」

千鶴と千澪も店を出て行った。
千澪は、千鶴を屯所まで送ると、手を振った。
千鶴も手を振って屯所内に消えていった。
が、突然飛び出てきて、千澪に言った。

千鶴「あのっ・・・また一緒にお茶しましょうね!」

千澪は驚いた表情だったが、直ぐに言った。

千澪「ええ。また何時かね。誘いに来るわ」
千鶴「約束ですよっ」

千澪はまた手を振った。
顔にははんなりとした笑みが浮かんでいる。
そして、夕日の見える方角へと進み、消えていった。


  【続く・・・