二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ぬらりひょんの孫 忘れないよ 第二章 ( No.62 )
日時: 2012/01/26 20:47
名前: 亜鶴 (ID: JFBEfYhr)

花手箱     第一幕   小さき頃の夢






奴良組と京妖怪の戦いは幕と閉じた。これは戦いが終わったあとに起きた話だ———— 





負傷した妖は多く、一時天野家で療養することになったのだが…妖たちは毎夜毎夜どんちゃん騒ぎ。怪我を治すことすら忘れている。 


呆れて、桜は妖たちを叱るが何も効果はない。どうしようもない。




それとお悠とぬらりひょんは式を挙げてないため、まだ夫婦となっていない。式は江戸にある奴良家で行うらしい。だから、お悠とは離れ離れになってしまう。寂しいけど桜は心から姉が幸せになることを望んでいる。




一人ぽっつんと縁側に腰をかける。その表情はとても切ない。



「私は何を目標にして、これから生きていけばいいのかな…」


今までは自分の過ちでお悠に酷い思いをさせてしまった。だから命を張っても、彼女を護りたいっ!!と必死の思いで、きつい花開院の修行を耐えてやってきたというのに————

もう彼女を護らなくっていい。彼女は遠くへ行って、あの人に護ってもらえるから。



「…私、必要ないのかな…」そっと心の中でため息して、ほろりと涙を流した。悲しみが積もるだけ…





自分の幼い頃の夢…


「何だったっけ?」



そうだ…微かに思い出し、鼻で笑った。




『桜ね、お母さんみたいな立派な陰陽師になるんだ!!そして悪い奴らを倒すの!!』強く母の蒼に語りだす自分。あの頃の自分が遥か昔の…自分に思える。




「立派な陰陽師か…今の私には無理だよね。」




「ケホッケホッ」咳が出た。とても苦しい。肺が壊れそうな感じの…
手を口に押さえながら、咳をする。




少し落ち着いてきたのを見計らって、口の押さえていた手のヒラをはずす。手のひらを見ると、真っ赤な光景が広がっている。桜は驚いて、目をつぶった。また少し落ち着いてきたのを見計らって、目を開けた。でも真っ赤な光景は何も変わっていない。夢だったらどんなによかっただろうか。


「血…」



(更新再開)

真っ赤な手のひらを見て、表情は怖がっていた。


「桜?」遠くの暗闇の廊下から蒼の声が聞こえる。咄嗟に襟元に挟んであった和紙数枚を取り出す。そして血のついた口元、手のひらを拭いた。必死だった。

足音はだんだんこちらに向かって、大きくなるばかり。やがて…蒼の姿は月明かりに照らされて、目に映る。蒼は焦っている桜を見つめ、不思議に思う表情をした。でもなんとか血は拭き取れたみたいだ。血のついた和紙を急いで、くしゃくしゃに丸め、蒼の目につかない位置に置いた。

「何してるの、桜?」いきなり質問。


「いえ、何でもないです。」親子なのに、敬語を使う。それはこの親子の距離を少しずつ離さしていった。こんなに近くにいるのに、心はどこか遠くにいるみたい。


静かな会話。数年ぶりな親子二人の会話。

———————どうしてこんなことになってしまったのだろうか。

実の親子なのに、甘えることすらできない。そっと心の奥底で悲しみを味会う。それと心が緊張感を覚える。


「…っ!!////」
蒼の手が桜の頭に置かれる。桜はびっくりし、耳まで赤くなる。


「母さんに冷たくしないで…さくら」優しい眼差しで、優しく頭を撫でる。瞳からは涙が溢れていた。



頬を伝う涙を見て、桜は驚いていた。


「お…おっおかあさん…」久々にその言葉を発する。自然と涙が流れる。体は震える。
「ごめん…なさい。」

先の見えない道がいっきに明るい光が差し込んでいった。もうさ迷わず、まっすぐ歩んでいける。でも本当にその光を信じてよいのか。足を止め、考える自分。踏み出す勇気がない。


「冷たくしてた訳ではないんです。久々でどう接すればいいのか分からなくって。」


「あんたは小さい頃の接し方でいいの。何にも変えないで。また無邪気に接してくれればいい。でも悪戯は駄目だからね!」静かな会話から、笑いが零れる。

自分の幼い頃…いつも無邪気で悪戯ばっかしてって。蒼に甘えるのが大好きで、離れるのは嫌で。いつもいつも夢を語っていた。


そんな桜が好きだった蒼。

「あんたはあたしの子なんだからっ…桜らしくしてほしいなっ。」蒼の手はとんっ!と音を立て、背を叩いた。








「…はいっ!!」元気よく返事した。元気の良い笑顔…輝いていた。




「よくできましたっ!」くしゃくしゃに髪を撫でまわす蒼。本当に母親としては嬉しかったのだろう。





((お母さん…ありがとう。))そっと心の奥でお礼を言った。





————絆はいつでも取り戻せるけど…私はまだ何もしらなかった。まさかこれからあんなことが起きるなんて…


      




            続く…


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