二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 絶園のテンペスト  ( No.48 )
日時: 2012/01/29 07:46
名前: 睦月 (ID: JhSKFTjv)

  揚羽蝶 5

「本当に、何も知らない?」

 山本は吉野をつかみ、顔のすぐ目の前に銃を突きつける。

 地域封鎖とか、ニュースで言ってないよな。そんな秘密を知った相手をそのまま生かしておく?えーと…どうする?とりあえず時間を稼ぐ?

「……。」
 
周りに何かないか目で探す。さっき落とした傘…。いや、少し遠い。もう少し…少し気をそらせれば…。空を見ると、えっ?

「蝶…。」

「何?」

「いえ…揚羽蝶が飛んでいるんです。」

優雅に雪の中を飛んでいる。

「蝶々がどうかしたの?始めて見るわけでもないでしょ?」

 山本はイラついていた。蝶より私は「真広」について知りたいけど?銃を引くそぶりを見せる。

「揚羽蝶はサナギで冬を越すはずです。今、11月ですよ!雪降ってるんですよ?普通に飛んでるわけありません!」

「でも1匹でしょう。何かの間違いで…!?」

 2人の周りには大量の揚羽蝶が飛んでいた。春でもなかなか見られない量。

「そんな……!!まさかこれ……。」

 吉野が気がつくと、山本とは十分な距離があった。すばやく傘を拾い、銃をたたく。

 スパァンッ!!

「!?」

 銃が地面に転がる。まだだっ!できればもうひと押しっ…!!もう一度傘でたたく。

 ガシッ。何回も負けるわけにはいかないの。私は傘をわざと腕に当てて、威力を弱める。そして、こっちに来た威力を…っと。勢いよく吉野の体を投げる。

 ダァァン!!

「お生憎様。銃は一丁だけじゃないの。」

 くっ。僕の目の前に銃がつきつけられる。ショ…ショットガン!?うわ…これはないって…!目をつぶる。