二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブンGO  —夢—コメント求む!! ( No.11 )
日時: 2012/01/01 20:18
名前: 柳 ゆいら (ID: jIh6lVAe)


——story6.ビビリ症——


「ね、ねえ、この廊下、長いと思わない?」

朝月は、廊下の壁にくっつきながらそう天馬に聞いた。
一方天馬と言えば、一度来たこともあって、多少慣れていたが、

「うん、大きいとは思う。長い……とも思う;;」
「あう〜、長いし、少し暗いし、ほんとに、な、な、な、なんか『出そう』だよぅ(/△\;;)」
「大丈夫?」
「う、うん……;;」

朝月と天馬の会話が、そこで途切れたとたん、ピアノの音色がきこえた。
さっき『出そう』と言っていた朝月の顔が、サッと青ざめ、

「イヤ————!!」

と大声を発した。
天馬はあせって朝月の口をおさえた。

「しーっ。これは、キャプテン……神童さんって言ってたじゃんか。あの人がピアノを弾いてるの。」
「まっ、まぎらわしいっ。ほんっっっっとにビビった!!」
「そんなにこわがりで、配達できるのがすごいよ……。」
「そういうこと言わないでよ。けっこう気にしてるんだよ、このビビリ症……。」
「ご、ごめん……。あ、ここだよ、キャプテンの部屋。」

天馬が言うと、朝月は目に涙をためたまま言った。

「なっ、なんで神童さんのお部屋にわざわざ……。」
「だって、そっちの方がキャプテンも確認できていいでしょ?」
「よくないっ、絶対よくないっ。もし部屋に誰も居ないで、ひとりでにピアノが鳴ってたら? こわいでしょ??」
「でも、行ってみなきゃ分からないよ?」
「…………分かった、入ろう。」

朝月は天馬の後ろから入ってくることにして、扉をノックして入った。
キィ……と静かに音をたてて開く扉に対し、ピアノの音が大きくなったので、朝月は「ヒッ。」とのどを鳴らした。
しかし、きちんとピアノを弾いている主はいた。
案の定、神童であった。
神童もこちらに気づき、声をかけた。

「天馬? なんでここに? たしか、さっき通したのは配達の……。」
「よかったぁ……、弾いてるのは人間だったよぅ……。」

朝月は、天馬のうしろでヘナヘナとその場に座りこんだ。
それを見て神童はギョッとした。

「そ、その人は?」
「あ、えっと、この人は……。」
「あっ、いけない。これ、配達に来ました。」
「さっき座りこんでたのはいったい……? 弾いてたのは人間だったとかなんとかって……?」
「あ、あれは気にしないでくださいっ。」
「ビビってたんです、暗いうえに廊下が長いし、ピアノの音まで聞こえてくるから幽霊じゃないかって。」

天馬がそれを言った瞬間、神童にフカヒレの入ったふくろをふたつともわたした朝月はまっ赤になった。

「ままま、松風君っ////」
「あ、ご、ごめん、つい……。」
「あ、お邪魔しました!! 松風君、帰るよ!!」

朝月は神童に一礼すると、天馬の腕をひいて、すごい勢いで部屋を出て行った。
     つづく