二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   金木犀で創るシャングリラ (inzm/小説集) ( No.39 )
日時: 2012/02/06 18:49
名前: さくら (ID: z2eVRrJA)
参照: http://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/265669/


ふわふわ、ふわり。
ゆわゆら、ゆらる。
まだ眠気が差していて、ぼんやりと瞳が霞む。何でだろう、くらくらする。


「……、此処…。」


頑張って焦点を合わせようと試みる。段々と焦点が定まって来るが、其処には白い靄の様な霧が掛かっており、上手くは見れない。
手足に力を入れ、立ち上がる。

此処には誰も居ないようだ。これ以上進んでも良いのか。
一瞬躊躇いながらも、此処は何処なのか。私は何故こんな所に居るのか、それを確かめたくて、足を動かす。

すると、少し足を進めたところに大きな門があった。
それは、私よりずっとずっと大きく、シンプルではあるが煌びやかな模様が細工されてある。
とてもとても大きくて、圧迫させられる門。

だが私はこの門に思い当たりがあった。何故。初めて視るはずなのに。こんな所、初めてなはずなのに。だけど心の何処かで引っ掛かる。
妙に懐かしい記憶だった。
思い出そうとすると頭が鳴って思い出せない。考える事すらも出来なかった。
この門は、私と関わりがあるのだろうか。
不安と疑問で心内が侵食されていく。


『七瀬、虹彩様……——————』

「ッ!?」


ギンッ、脳内に電波音がしたかと思うと擦れた声の主が私の頭の中で話し掛けている。
最初は気のせいか。そう思った。だが違う。
此れは、完璧なる脳内会話の一種だ。テレパシーだ。
魔法が存在しているこの現在、余り驚きごとでは無いが、こういう体験は初めてだった為、不安に更に不安、そして好奇心が伸し上がる。


『ようこそ、お越し下さいました。伝説の覇者よ。“女帝”よ。』


行き成り何を言っとんのかコイツは。コイツなんていっても指す魔族が居ないので、少し可笑しい日本語になってしまったが。
だがふ、とある言葉が脳内を過ぎる。

 “—————……、魔聖、対戦…”

気が付いてしまった。否、もう気が付いていたのかもしれない。
あれ程今日の為に準備をしていたのに、何故か忘れてしまっていた。それは、私の意思なのか、アチラの意思なのか。


「まさか、此処って…ッ!

                    ———…“|失われた理想郷(ロスト・オブ・エデン)”…ッ!?」


肯定の意は、示されなかった。
代わりに、ガンッと鉄パイプで殴られた時より遥かに痛い衝撃が脳内を襲う。そして、送り込まれて来た、数々の情報。
この“魔聖対戦”の事について、開催場所について、生活について、この“殺し合い”に必要な情報の殆どが脳内に送り込まれてきた。
全てを得た気分になる。
此れは、魔法なのだろうか。もし此れが魔法だとしたら、是非拝借したい。こんな便利な魔法他には無いだろう。


まず、いえることは、

        もうあの「ころしあい」ははじまったということだ。





 14N:( さぁ創めよう。純情なるコロシアイを )


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