二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブンGO〜なくしたくない物〜 コメントください! ( No.340 )
日時: 2012/02/23 18:49
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: z52uP7fi)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode

42.印象

(飛ばしちゃっててすいません。手術室前からです)

速「いくらなんでも、おそすぎですよぉ。もしかしたら、神童君は……。」

速水が音をあげた。みんなも、その言葉でうつむく。
新雲学園戦で、ユエが倒れたあと、神童もまた倒れてしまったのだ。そのため、今病院まで運ばれ、手術を受けているところだった。

天(キャプテン……!)
?「なんで、雷門の人がここに!?」

すごくおどろいた声が、手術室前に響いた。
ふり返ると、かわいらしい女の子が、車イスにすわって、目をまん丸く見開いていた。この子は……

輝「友撫ちゃん……だっけ?」
友「そうですけど……って、だからなんでここに?」
天「え? 友撫ちゃん、試合みてたんでしょ?」

天馬の問いに、友撫はゆるゆると、左右に首を振った。

友「ううん。見ていたかったけれど、病院の人がたまたまあの会場内にいて、病院に連行されちゃったの。」
輝「友撫ちゃん、入院してるんだ。」
友「うん。だから、ぬけ出せてすごくうれしかったのに、またもどって来ちゃったー……って落ちこんじゃったのです……。」

友撫は、心底残念そうに肩を落とした。それを見ると、雷門まで残念な気持ちになる。

友「にしても、なんでここに?」
天「じつは……。」

神童が倒れたことを友撫に話すと、友撫の表情は、だんだん青くなっていく。

友「う……そ……お兄の言ったこと、まるあたりじゃない……。」
天「え!? どういうこと!?」
友「お兄……じつは、『この試合で自分は倒れるかもしれないし、もしかしたら、キャプテンも……。』ってぼやいてたんです。まさか、ほんとに……!」
輝「そうだ、ユエ! ユエは!?」
霧「落ちつけ、天馬、影山。」

さっきから声をあげっぱなしのふたりを、霧野が制した。そのことで、ふたりも病院の中だということを意識し、落ちついて声を小さくする。

輝「ユエは、どうなったの?」
友「大丈夫、お兄は無事。なんか、手術をしたって言ってました。」
天「手術?」
友「はい。なんの手術かは、全然聞いてないけど……ていうか、言いたくないって言っていたような……。」

友撫が腕を組んだ。
と、そのとき。

錦「終わったぜよ!」

錦が声をあげ、それにみんなもバッと顔を上げる。出てきた先生に、みんなが群がった。

天「先生、キャプテンは……。」

先生は、ゆるゆると左右に首を振った。
それを見て安心したのはただひとり、友撫だけ。ほかのみんなは「そんな……。」と肩を落とした。
さらに、出てきた神童に、みんなはかけ寄った。

友「冬香さん、成功したんですね。」
冬「ええ。」
鬼「安静に!?」
全「え……?」

鬼道監督の声に、みんながふりかえる。

先「ええ。右足にギブスをしなければなりませんから。」
天「ど、どれくらい……。」
先「1ヶ月ほどでしょうか。」
天「そんな! キャプテンは、これまで、ずっと頑張ってきたんです! だから、決勝に出られるようにさせてあげてください!」

天馬は先生の前で頭を下げた。目に涙をためて。
しかし、先生は、それには答えられなかった。

先「できることなら、そうしてあげたいものですよ。」
天「そんな……。」

天馬は、がくんとくずれ落ちた。
そこに、友撫が突入してきたのだ。

友「先生! 友撫だって、先生のおかげでここまで治ってきたんです! だから、だから……!!」
天「友撫ちゃん……。」
先「……むりです……。」

先生も、少しつらそうな表情だった。友撫も、天馬につづき、目に涙をためる。
先生が去ったあと、輝は冬香に頼みごとをした。神童のことではなく、ユエのことだ。

輝「あの、できれば、ユエに会わせてもらえませんか?」
冬「ええ、もちろんいいわよ。」
天「ユエ……お、おれも!」
全「俺も/僕も/わたしも!」
冬「分かったわ。」

冬香に案内されて、雷門イレブンとマネージャーは、ユエの病室に向かった。もちろん、友撫も一緒である。

冬「ここよ。月流君、入るわよ。」

まったく返事はなかったが、冬香は戸を開けた。
中には、いたって普通にユエがベッドに座っている。ただ、少し印象がうすくなった感じがするのは気のせいだろうか、と輝は小首をかしげた。

輝「ユ、ユエ?」
ユ「え? あっ、輝!」

ユエは、輝を一目見ると、バッと立ち上がった。しかも、ベッドの上に。さすがにこれは冬香も怒った。

冬「こら、月流君! そんなことしちゃ危ないでしょ!」
ユ「わわわっ、はい、すいません;;」

ユエは首をすくめ、ゆかにおりる。
そして、スリッパをきちんとはくと、輝にかけ寄った。

ユ「来たんだ!」
輝「う、うん。」
ユ「準決勝は? 勝てた?」
輝「勝てたよ、勝てた……けど……。」
ユ「けど?」
天「……キャプテンが……。」
ユ「え……。」

天馬の言葉に、ユエはその場にかたまってしまった。