二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ曲物語〜歌の世界を君に〜【只今カゲロウデイズ小説化中】 ( No.4 )
- 日時: 2012/01/09 17:38
- 名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)
【カゲロウデイズ】
蒼「もう・・・やだよ・・・。何回この眼で南の死を見なくちゃならないんだよぉ・・・」
何度世界が眩んでも。
何度南の死を見ても。
その度その度に陽炎が嗤って奪い去っていく。
もう繰り返して何十年になるだろう?
蒼はもう気が付いている筈。
蒼「こんなよくある話なら・・・結末はきっと1つだけ・・・」
繰り返した夏の日の向こう。
蒼はぼそっと呟いた。
そしてまた夏の日に戻ってくる。
同じ話を繰り返して・・・。
南が赤信号に気が付かず渡ろうとする。
蒼「南、危ないから下がってて」
そう言うと、信号に出かけている南をバッと押しのける。
南のかわりに道路へ飛び込んだ。
その瞬間、南が当たるかわりに蒼が、トラックに当たった。
広がったのは蒼の血飛沫。
【蒼】という字とは反対に、真赤な紅色だった。
南「そ・・・う・・!いやぁぁああああああ!!蒼——!!!」
南はその場に崩れ落ちる。
南の瞳には蒼がはっきりと映っていた。
その瞳の涙には、周りの血と蒼が乱反射しているように見えた。
南の隣には、見慣れた陽炎の姿があった。
これまでと違うのは嗤っていないことだった。
文句ありげな顔だった。
その陽炎に蒼は言った。
蒼「ざまぁみろよ」
陽炎「・・・」
蒼がにやっと笑って南に視線を移す。
その瞬間驚いた。
南は確かに泣いていた。
だけどその後ろ。
南の後ろで今まで南が抱いていた猫が陽炎のように南の形になっていく。
そして完全な南の形になった時。
その南は蒼を見下して嗤っていた。
蒼は自分の形の陽炎にまたにやりと笑う。
実によくある夏の日の事だった。
蒼の夏の記憶のような何かはここで終わった。
—————
次に目を覚ましたのは8月14日。
ベッドの上。
蒼ではなく南が横たえていた。
一度体を起こし、壁に寄りかかる。
南「また・・・ダメだったよ・・」
南の手には、黒猫が抱きかかえられていた。
【カゲロウデイズ:END】