二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: キョンの消失 ( No.17 )
日時: 2012/01/09 22:39
名前: デストルドー ◆s4.FcLcEko (ID: xPOeXMj5)



《 第3章 》





「キョン!何ぼけっとしてんの!シャキッとしなさい!人生は有限なんだから!時間は待ってくれないんだからね!」

全く、いちいち感嘆符を多用する奴だ。もう少し静かにしゃべれんのか。俺は悠久の時が誘うままに生きていくさ。

「ダメ!そんなんじゃ全然ダメよ!そんなんじゃあっという間に年とって、『俺の人生って一体なんだったんだ……』なんて後悔しかねないんだから!そんなんでいいの?」

もう少しのんびり生きても、というか、もう少しのんびり生きた方が人生は楽しいぞ。休むことは大事だ。大体日本人は働き過ぎてい……

「そんな屁理屈はどうでもいいの!あんたはつくづく頭の固い奴ね!」

少なくともお前よりは柔軟な思考を持っていると自負しているがな。

「あー、もういいわ!あんたと話しても埒あかない!もうあたし一人でやるもん!あんたはお役御免よ!」

そうかい、そりゃありがたい。ようやく普通の生活が堪能できるぜ。

「……!……あんたは普通の方がいいの?」

ああ、そりゃ普通の人間だからそれ相応のものがベスト、いや、ベターくらいか。まあ、右往左往して草臥れるよりは全然いいね。

「……そう」

なんだ、急に。長門の真似か?

「……結局あんたも解ってくれないんだ……他の人達と一緒なんだ……」

おい、どうしたんだ、どうい……

「うるさい!あたしはやっぱり一人なの!」

「そんな叫ぶな。後、人の話は最後まで、っておい、どこ行くんだよ」

ハルヒは俺が言い終わらない内に部室の扉をぶち破る勢いで開け、陸上部さながらの走りで駆けていく。俺も追いかけるものの、みるみるうちに置いていかれ突然辺りが真っ暗になった。

ちょっと待ってくれ。ハルヒ。置いてくな。

────ハルヒ……!




────────────────────────



ドン、と鈍い音が背骨に響き、やがて全身に伝わっていく。

「痛っ!」

……またあの夢か。なんだってんだ。一応忠告しておくがあのワンシーンは俺は実際に体験していない。妙にリアルで気持ち悪いが、それだけは確信をもって言える。

急に変な夢を見ることはときたまあるが、今回のは少し特殊だ。なぜならこの夢を見たのは今日を含めて一週間連続であり、更新を留めそうにはあまりなさそうだ。

実体験がトラウマとなって、夢としてフラッシュバックするなら解るが、これは何ら体験の覚えのないフィクションだ。ちょっとしたスペクタクルだぜ。フロイト先生に夢判断でもしてもらいたいところだね。良い研究材料になると思うんだが。


……冗談はさておき、だ。この夢は何か意味深長なことを暗喩しているのではないだろうか?信じたくはないが、俺の命は後一週間足らずのものらしい。そしてその予想された悲劇に少なからず関係しているであろうハルヒのイレギュラーな団活動の欠席。これはこの夢を見始めた一週間前の出来事だ。何か関係があるのかもしれない。一週間のズレはあるにせよ、な。

……それから、古泉の推測に過ぎないが、席替えでの一件が関係しているかもしれない。

どういうことなんだ、ハルヒ。俺に飽きたのなら……うーん、なんだ、改まってそう考えてみると何か心に靄がかかる気がする。どうかしちまったのか、俺。まあ、この気持ちのエラーは置いておこう。だから……えーと、つまりだな……って、何故に言い訳しようとしているんだ。こんなことはどうでもいいのだ。

つまり、人に飽きたからって何も殺すことはないだろうってことだ。いくら常識はずれのアイツでもそのくらいは分別がつくだろう。そうでなかったらとっくにあの陰険な数学教師や谷口、いや、大半の人間が今頃死んでいるはずだ。



……それとも、それとも、だ。




アイツは俺を殺したいくらいにうんざりしているのだろうか────