二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: *狼陛下の花嫁*【原作沿い】 ( No.1 )
日時: 2012/01/07 22:36
名前: 勾菜 (ID: EUu3Ud2H)

〜はじまり〜

それは唐突な出来事だった。
「陛下の後宮に臨時のお妃さま、でございますか?」
「ええ、まあ…一時の縁談避け、なんですけどね」
「だって、あの人たちうるさいんだもん」

ここは白陽国王宮のとある一室。
ひとりの女官と二人の男性が深刻な雰囲気で話し合いを進めている。

「それで…私は何をすれば…?」
「うん、君にはそのお妃の話し相手とか相談相手をしてほしいんだよ。
 全部秘密を知っているもの、としてね」
「そのお妃の事を知っているのは、私どもを除けば数人しかいないんですよ」
「…わかりました、では、後宮で準備をしてお待ちしております」
にこりと笑って彼女は快諾の意を示した。

彼女の名は杜 紫音。
後宮筆頭女官である。
そして、白陽国の王とその側近に最も信頼された女官である。
だからこういう重要な役割などを背負うことも多い。
実は隠密の仕事をすることもたまにある。
女官の中では唯一狼陛下の二面性を知った人物でもある。

「じゃあ、頼んだよ紫音」
「まあ、少しの間の辛抱です」
「御意にございます」

そのまま彼女はその部屋を足音も立てずに退室していった。