二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: *狼陛下の花嫁*【原作沿い】 ( No.3 )
日時: 2012/12/17 22:17
名前: 勾菜 (ID: eqvLcwt4)


ふらふらとしながら夕鈴は部屋から出た。
(…怖くて「ムリです」って言えなかった…)

夕鈴の頭の中に『金』という文字が溢れだす。
『あやしい』『こわい』という文字までが巡る。
(高賃金にはちがいないのよ。ああでも…)

そこでぴたりと夕鈴は足を止める。
だが、立ち止まったのはほんの数秒。

目に涙を浮かべながら夕鈴はバッと身をひるがえした。
(〜〜〜〜〜〜やっぱ辞めるって言ってこよう!……あっちのメガネの人に!)

ソロソロと夕鈴は先ほどの部屋へと足を進めていく。
(陛下がいたらまた次のときに…;;;)
鬱々とした気分で部屋の前にたどり着いたとき、夕鈴はふと自分の耳を疑った。

『てゆーかさぁ。この作戦僕が休むヒマなくない?』
(ん?;;)
『まだ気を抜かずに!人払いが済ませてあるとはいえ…』
『まったく、陛下も相変わらずでございますね』
(ん!?)
『えー、だってー』
『彼女にはそれ!ばれないで下さいよ!?』
(この声って)
『あ。それはもう遅いかもしれま…ってあぁ…』
狼陛下が扉を開く。

「あ」
(へ?)
互いに目をぱちくりとする。
あの狼陛下からは想像もできないほどに抜けている顔で。
夕鈴は唖然とした表情で。
「「————」」
「あ———————……ご」
「へい…へ?」
「めーん、李順ーー紫音ーー!お嫁さんまだいたよーー」
「あぁ…やっぱり、夕鈴様でしたか…」
「紫音殿…気づいてたのなら早く言ってください!あああ作戦がぁ…」
「だって…口をはさむ余裕がなかったんですもの…」
「やっちゃったー」
へらへらと笑っている狼陛下は夕鈴の知っている陛下のものではなかった。

冷酷非情な狼陛下。
そんな彼の姿はどこにもなくて。

((さっきの人と別人なんですけど!?!?))

夕鈴を混乱させた。