二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 夏目友人帳 妖しきものの存在 ( No.20 )
日時: 2012/01/28 07:26
名前: 睦月 (ID: uSdQ/xFE)


妖が見えなくなったのか?一瞬、そう考えた。

眼を手で押さえる。…視界が狭まった。

「これが普通なんだよな。」

机に突っ伏して考えてみる。

——妖が見えない普通の生活。西村達と一緒に遊んで、塔子さんや滋さんとずっと暮らしていく。

『夏目、酒を早く持ってこい!』

『…忌々しいレイコの孫か。ひと思いに一口で食ってやろう。』

『夏目、見て、ここからの景色はとてもきれいなんだよ。お母様が教えてくれたの。』

『夏目殿は優しすぎるんです。』

……。たくさんの妖達の言葉や顔が浮かんでくる。それは優しかった妖であったり、おれを襲ってくる妖だったり。

『でも今は、君の力になれることがうれしいよ。』

『——私にしてはガラにもなく、長い手紙を書いたんですが…。』

名取さんや的場さんのことが浮かんでくる。

「もう関われないのか…?」

皆にもう会えない。声も姿も見えない。

「えっ?」

そう思っていたら涙が出てきた。あわてて服の裾でふく。こっ…こんなところ誰かに見られたら…。

  甘い香りがした。そのにおいが鼻をくすぐる。

「あ…。」

眠たい…。——どこからか声がする。

「これで……ぞ。」

「ああ。……しよう。」

久しぶりに聞いた声。中級…達?