二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 背中合わせの志【参照600超感謝】 ( No.109 )
- 日時: 2012/05/12 10:47
- 名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)
52話「機転」
二人が刀を構え、海が今まさに斬りかかろうとした時。
匡「海、考えたんだけどな?」
海「何でしょう?」
匡「お前が刀を取り戻して、ついでに風間の嫁さん(千鶴)に
本家まで御同行願うったぁどうだ?」
天「…不知火、それは誘拐というのですよ。」
匡「いいじゃねぇか、天霧の旦那。な、海もいいだろ?」
海「素晴らしい案だと思います。一つ意見させていただくのは、
貴方は何かというと、原田と戦闘したいのでは?」
その台詞を聞いて、不知火は口の端を歪めて笑い、海の方を
ポンっと叩く。『正解』という感じだ。
海「では、先に所用をすませましょう。」
言うが早いか、海は空に斬りかかった。
空「うぁ!!?」
反応し防御するが、もともと二人では実力に多少の差がある。
海「フン、常日頃から鍛えろと…言った筈だっ!!」
声とともに力を込め、空を突き飛ばした。大きな音を立てて
壁に激突する。人間なら骨が折れている所だ。
原「何だ、今の音!?」
土「千鶴、お前はここにいろ!」
幹部達の声が聞こえ、山崎を手伝っているのであろう平助以外の
幹部が全員そろった。
原「てめぇは、不知火!」
匡「よう原田。遊ぼうや?」
斎「お前か天霧。」
天「夜分遅く、申し訳ありません。」
それぞれの幹部が、それぞれの鬼と対峙する。土方と沖田は、
海の方を見た。
土「…海。」
沖「君はもう少し礼儀正しいと思ってたんだけど。これ、不法侵入
だって分かってる?」
海「…私は鬼だ。人間の法律を使うな。」
海が倒れている空に向かって刀を構える。空は刀を杖のように使い、
何とか自力で起き上がった。
雪「皆さ——ん!?」
そこに響いてきたのは千鶴の声。待っていろと言われたものの、やはり
我慢できずに出てきたのだろう。
土「来るな、千鶴!?」
雪「え!?」
千鶴が足を止めたが、数瞬遅かった。その首には、海の持つ紅に光る
刀が出されていた。
幹部「っ!!」
海「私達のもう一つの目的は、貴方です。…雪村千鶴様。
ご無礼をお許しください。我らに同行して頂きたい。」
土「くっ…」
幹部達が助けに入ろうとするが、状態的には千鶴を人質にとられて
居るようなもので、斬りかかる事が出来ないのだ。
雪「…御免なさいっ!」
海「なっ!?」
千鶴が海の腕を引っ掻いて逃げるという、その場に居る全員が考えて
いない行動を起こした。海の腕から血が滲みでて、傷は塞がらない。
土方が千鶴を庇う態勢になり、その場の空気が一変する。
鬼と人の持つ殺気が、静かにその場を支配した。