二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 背中合わせの志【参照600超感謝】 ( No.112 )
日時: 2012/05/12 21:12
名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)

53話「海+千鶴=?」


腕を引っ掻かれて少し血が滲む着物を来た海が、軽く溜息を付く。

海「もう少し頭の回る御方だと思っていましたいよ?千鶴様」

海はそう言って何処からとも無く取り出した晒で傷跡を隠す。
海の集中力が切れた。
呆れたような眼で千鶴を、そしてそれを庇っている土方を見据える。
もう一度溜息をつくと、刀を構えなおす。

海「そこを退け。邪魔だ」
土「残念だが、コイツが欲しかったら俺を殺してからにしろよ?」

その言葉を聴くと、逆に海が口元をにい、とあげた。

海「じゃ、殺しても良いんだね?」

問いかける様子が、薫のようだった。
少し後ろにいる総司が顔をしかめる。
海は楽しそうな狂気の表情を見せている。
見たことの無い表情に、千鶴も空も唖然としていた。

颯爽と海が攻撃を仕掛けてくる。
それと同時に、後ろで不知火と原田、天霧と斎藤が戦いを始めた。
土方は、海の唯一の弱点と見られる左腕を果敢に攻める。
が、

海「左腕狙えばあたるとでも思ってるのか?見え見えすぎて笑っちゃうね!!」

と、土方の空いている左脇腹に刀を突き出した。
惜しくもそれは掠っただけだったが、着物が裂け、肌から血が流れている。

千鶴「土方さん!!…っ!」

再度、千鶴の喉元に冷たい感覚が走る。
首筋に、刀が突き立てられていた。
どちらかが少しでも動けば、千鶴の喉元に刀が突き刺さるだろう。

海「もう一度だけ。同行を願います」

千鶴を見据えて冷静に言う。
これだけ見れば、今までの海だった。
紅く光る刀は二人を繋ぐ紐のようだ。

千鶴「い、嫌です。行きません」

千鶴は震える声で、でもはっきりと言い切った。
それを聞いた海は、やはり、という顔をしたあと、寂しそうな顔で千鶴を見た。

海「そう…ですか。ならば」

千鶴も海が諦めたものだと思って油断していた。
だが、見た。
海の口端が持ち上がるのを。

海「無理矢理にでも…。どうでしょう?」

海はひゅっと刀を翻らせると、千鶴の腹に躊躇無く峰打ちを施した。
あまりに突然なのと、あまりの痛みに千鶴は直気を失う。
海は、動くことの出来ない土方を尻目に、千鶴を肩に担いだ。
不知火、天霧もそれを確認すると、海のほうに退く。
海はひゅうっと風になったかと思うと、空の後ろに回った。
そして、首元に思い切り手をぶつける。
直に空は気絶した。
腰に差してある刀—冷寒刀—を抜くと、自分の刀を空の前に置く。

匡「おいおい、いーのかよ?その刀置いていって」

先程海が居た場所から、不知火が大きな声で言った。
それに返すように、海も大きな声で言う。

海「構いません。この刀は私には不要なので」

そういうと、また不知火達のところへ戻った。
海は、無駄に手出し出来ない状態の幹部達を見渡し、ふっと笑う。

海「何と滑稽な姿なんだ。まぁ良い。雪村千鶴は一旦貰っていく」

笑うと、ふっと消えていった。
不知火と天霧もそれに続いて消えていった。