二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 背中合わせの志【参照800超感謝】 ( No.120 )
- 日時: 2012/05/26 20:31
- 名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)
59話「海からの文」
千鶴「私しか居ないって…確かにそうだけど!!どうにかならないの?お千ちゃん!」
千「どうすることも出来ないわ。私が斬ると言う手もあるけれど…」
千鶴が困りながら千に問うと、千は首を横に振った。
そして自分が斬るというのを提案する。
それを聞くと、空がそれを否定した。
空「そんなの駄目です!千姫様にお手を煩わせたりするなんて!!
勿論、千鶴さんにも…。そんな事、いけません。
自分の不注意だったんだから!」
空が自分を責めるように言った。
眼には涙が溜まっている。
空「やっぱり…!私、海から自分の刀を奪い戻してきます!!」
意を決したように言う。
それを聞いて、千鶴と千が驚いた顔になる。
千「止めなさい!今の貴女が行った所で、何も出来ないわ!!」
空「そんなの…やってみないと分からないじゃないですか!」
千「分かっているから言ってるの!貴女じゃ海には何も出来ない!」
空「良いです!何も出来なくても…、やってみるんです!」
もう一度千が言葉を発そうとした時、空は風に変わっていた。
千「…っ」
千は悔しそうに下唇を噛む。
するとそこに、壱羽の梟が入ってきた。
それは、以前海から文をもらった梟に似ていた。
今回も足に文が付いている。
君菊が素早く梟から文を取ると、千に渡した。
千「っ!やはり空を行かせてしまってはいけないわ!君菊!!」
君菊「仰せのままに。行って参ります」
千「ええ。宜しくね」
君菊が風となり行ってしまった後、千鶴が千に問う。
千鶴「お千ちゃん…。その文は一体…?」
千「海からの文よ。刀の話なのだけれど」
———
拝啓 千姫様
この度、私は刀を奪いました。
里の掟により、私が持つと蒼くは光らなく、只の刀。
私には使いこなせそうにはありません。
ですが、千姫様も仰せの通り、血を染込ませれば我が刀になります。
私は不知火さんにお頼みし、我が鮮血を染込ませ、蒼き光を放つようになりました。
これを定期報告とし、文を送ります。
白里 海
———
千鶴「じゃあ海さんは…!!」
千「ええ…。そういうことね」
———
空「海っ…!!何処にいんのっ!」
海は風間の敷地内に侵入していた。
怒りと悲しみの入り混じった表情で、必死に海を探す。
誰かに見つからないよう、辺りをきょろきょろ見渡す。
?「…空?」
後ろから声がして、思わず振り返る。
そこには、自分が探していた人物、海が居た。
海は空を普通の眼で見ていた。
海の腰には、元々の自分の刀が差さっていた。
空「…海、刀…私の刀、返して…っ!私の刀!!」
海「もうお前の刀では無い。私の刀だ」
空「?どういう意味?」
海「これを見ろ」
海は、刀を抜いてみせる。
それは、空が持っていた時よりも眩い光を放っていた。
それを見て、空が驚く。
空「なんでっ?え!?」
海「不知火さんに頼んで、やってもらった」
空「そんなっ!!」
空が、驚愕の表情を浮かべたまま、硬直した。