二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 背中合わせの志【参照800超感謝】 ( No.121 )
- 日時: 2012/06/02 10:56
- 名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)
60話「変わりすぎた友」
海「空、何用だ?」
静かに海に問われ、空は刀から視線を外した。
空「き、決まってるじゃない!刀を返してもらいに来たの!」
その言葉を聞いて、海が小さな哄笑を上げる。
海「く、あはっ。…お前が私から?馬鹿も休み休み言ったらどうだ?
……あぁ、怒るな怒るな。」
そんな海を見て、空は唖然とした。海がこんなにも表情をクルクル
変えるとは思わなかったのだ。しかも、『怒るな』等とからかいの
一言まで付いている。
海「ところで空。…不法侵入、という言葉を知っているか?」
その台詞と同時に海の瞳には殺気が宿る。そして刀を突きの形に
構えなおした。
空「海、何で?本当に海なの…?」
海「戯言はそこまでだっ!!」
変わってしまった親友を前に、空はその攻撃を避けられなかった。
空「ぁ……?」
一瞬何が起きたか理解できなかったが、背中の熱と痛みで。そして、
足元に広がる朱色で理解できた。
海「くく、似合うよ空。」
海が刀を鞘に戻しながら、笑顔で空を称賛した。
空「どう、して…?」
背中の刀傷、海に付けられた真一文字から、血が流れ出る。
————どうしてそんなに変わってしまったの?どうしてそんな…
…私の手の届かない所へ行ってしまうの?
君「空!…海、なんて事をっ!!」
朦朧とした空の頭の中に、君菊の声がこだまする。
海「丁度良かった。彼女持って帰って下さい。…あ、あと。何回も
来られて斬るの面倒なので、帰ったら布団に包んで部屋に
ぶち込んどいて下さい。お願いします。」
平坦な海の声も頭に響く。そして次の瞬間、君菊が空を担いで海を
睨みつける。
空「う……」
君「声を出すのはお止めなさい。身体に響きます。」
そして君菊は風になり消えた。
千「あ、おかえ…空!!」
雪「そ、空さんっ!?」
土「おい、誰か山崎呼んで来い!あと部屋一つ空けとけ!!」
君菊の登場で、幹部達は騒然となった。空は背中が真っ赤に濡れて
おり、君菊も空の血で衣がぐっしょり濡れている。
丞「副長、部屋が用意できました。」
雪「私も行きます!!」
山崎に続き、千鶴も走る。幹部達は、二人にすべてを任せるしか
できなかった。