二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 背中合わせの志【参照900超感謝】 ( No.124 )
- 日時: 2012/06/06 22:08
- 名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)
63話「悪夢」
海「空の容体が良くなってきている…ですか?」
海が自室で、障子の向こう側に居る人物を睨む。
障子の向こうに居たのは天霧だった。
天「はい。徐々に回復へと向かっているようです」
海が軽く舌打ちをする。
一晩…否、一日程度で治る程の傷しか付けられなかった自分を恨む。
手加減したつもりはなかったが、もっと思い切りやっても良かったのだと思う。
天「まぁ、貴方にそれを伝えに来たです。千姫からの伝えで」
海「そうですか…。態々どうも」
天霧が立ち去っていく。
海は部屋の中で唇を噛み締めるしかなかった。
海「くそ…っ!」
—海、裏切ったものには罰が必要だ—
—其のことについて、議論しましょう—
海「っ!!?」
ふと耳元で声がした。
聞きなれた里の者達の声だ。
海は驚いて振り返るが、そこには誰も居ない。
海「気の…せい、か?」
ふう、と海が溜息を付く。
が、また耳につく声が、今度は無数の声が重なって聞こえる。
とっさに、海は自分の耳を塞ぐ。
が、意味もなく、大きな声で聞こえてくる。
海「や、やめっ!やめろ!」
海は文机の近くで蹲る。
息遣いは荒く、顔は蒼白になっていった。
みるみる大きくなっていく声に、海の頭は爆発しそうだった。
匡「おーい海、居るか?」
遠くから、匡の声が聞こえた。
実際、海の部屋の前にいたのだが、幻聴が勝り、遠くから呼ばれているように感じた。
すると、すぅっと声が遠ざかっていく。
何の躊躇も無しにすぱんと障子が開く。
匡「何だ居たのか…って、何やってんだ、海?」
匡の眼に映ったのは、蹲っている海の姿だった。
海「いえ、ちょっと幻聴、が」
海は無理に笑ってみせる。
まだ顔色が悪い。
海は咳払いをひとつして、「里の書」をとる。
そして、刀と誓いについて書いてあった頁を開いた。
ぱらぱら読んでいき、誓いについて書いてある最終頁を見て、顔を歪ませる。
それに気がつき、匡が後ろから顔を覗かせると、匡も眼を見張った。
———
この誓いを解く方法を載せたが、これにはもう弌大切なことがある。
里長が両方誓いを解かなければ、刀は力を貸すが、長の身に異変が起こる。
外観的ではなく、内心的の問題になるであろう。
例えばだが、幻聴、幻覚等だと思われる。
その苦しみは、刀の誓いを切った者だけに起こる。
両方が誓いを切れば、治まるであろう。
何故起こるのかは、生まれた時の誓いによってもわかる。
血判だ。
生まれた長子の血を塗った血判。
これにより、上記の問題が起こると考えられている。
———
匡「物騒だなァ」
海「こういうことだったのか…!」
海は何かを睨みつける表情に変わる。
それが何を示しているのか、それは現時点、海自身しか知らなかった。