二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 背中合わせの志【参照1000突破感謝】 ( No.135 )
日時: 2012/07/01 22:36
名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)
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73話「誰も知らぬ物語」


海「逆に聞くが、空。お前の望んだ未来は何だった?
   否、望んでいる未来は何だ、のほうが正しいか?ククッ」

顔に怪しげな笑みを浮かべながら問う海。
空は聞かれてぎょっとなった。
自分の望んでいる未来は何か、そんなの考えたこともなかったからだ。

海「っは。自分の望んでいる事すら分からんとは…。惨めな奴だ」
空「惨めっ!?惨めなのは海じゃない!自分の為だけに色んなものを捨てて…!それこそ惨めじゃないの!!」
海「私が惨め…ねぇ。ククっ!褒め言葉をありがとう」
空「褒めてなんかないわよっ!」
海「いや?私にとっては最高の褒め言葉だ。私を罵る言葉こそ、な」

最後に、罵る言葉を愛でるように唇に指をやり、刀を抜いた。
空も同時に刀を抜く。
二人は暫く対峙し合ったまま睨みあった。
そして、ほぼ同時に地面を蹴る。
二人の刀が交わる音を合図としたように、次々と刀の交わる音が増えていく。

海「空、先刻私がした女鬼の話はまだ忘れていないだろう!?」

「忘れるわけない」とでも言いたげに、空が海の刀に思い切り飛び掛る。
海も空も引かず、近くで対峙しあう形になった。

空「あんな話忘れる筈ないでしょ!?それが如何したのよ!!」
海「あの女鬼の話には続きがあってな?それが実に面白い。千姫すらも知らぬ話だ。教えてやろう」

———

未完成な体と言われ生き残った女鬼は、とある鬼と結ばれ、子を産んだそうだ。

その子供は女鬼の血を多く受け継ぎ、左腕が人間の未完成な体だった。

女鬼と結ばれた鬼は迫害を受け自ら死に、その子供も追い込まれていた。

それを救ったのが、雪村家。

雪村家は女鬼と子を匿い、全国の鬼に、鬼の心は変わらないと言い、女鬼を元の村に戻らせたらしい。

そして今の我等の村がある。

だがやはり女鬼と村の者が相容れる事ができず、今度は雪村家を滅ぼそうとした。

だがその前に女鬼は恩義ある雪村家の為、自らの命を子に託し、この世を去った…。

———

海「とまぁ、こんな感じの言い伝えだ。その子の末裔が今の私って訳だ。面白いだろう?」
空「だったら尚更…、なんで千鶴さんを狙うのよ!!」

空と海はまた離れ、睨みあった。