二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 背中合わせの志 ( No.34 )
- 日時: 2012/02/07 22:22
- 名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)
13話「海の思い」
千鶴は、空に思いもよらぬ言葉を言われて戸惑っていた。
空は早く言ってくださいという視線を送っていた。
そして千鶴は意を決す。
千鶴「やっ止めて下さい!2人共!!」
その言葉に、ぴたりと動きを止める海。
仕方なさそうに刀を鞘に納める。
だが、その言葉を聞いても、土方の剣は止まらなかった。
止められなかったと言うべきか。
土方の刀は海の頬を掠めた。
海の頬からは少し血が出たが、鬼の体質により直傷口は塞がった。
海「・・・如きに」
海はぶつっと呟く。
だが其の言葉は途切れ途切れに聞こえただけで、全て聞き取れなかった。
空が海に駆寄る。
空「海っ大丈夫?」
海「ああ。平気だ・・・。千鶴様、申し訳ありませんでした」
海はぺこりと頭を下げる。
そして頭を上げると、土方を睨む。
海「鬼は絶対、人間如きには負けない」
其の言葉の中には、殺気も込められているように感じた。
海は踵を返すと、屯所の中に戻っていく。
そして、千鶴の隣の部屋に戻ると、部屋の隅で座禅を組んだ。
後から空も入ってくる。
空「ねぇ海・・・。言いすぎだったんじゃない?」
空はおずおずと海に言った。
すると海は、空を睨む。
空は小さい悲鳴を上げて、ささっと海の反対側の隅に座る。
海「人間や紛い物になど、負けない。負けてはならないんだ。まぁ、私の固定観念かもしれないが」
空「う〜ん・・・。まぁ、負けたくないけどね」
海「こんな所で負けたら千姫様や・・・風間様に上げられる顔がないしな」
空は海の言葉に「なるほど」と手を打った。
海はふっと笑ってみせる。
海の笑顔を久し振りに見た空は、満面の笑みで返す。
千鶴「お茶を持って来たのですが・・・」
海「其の声は千鶴様!?」
空「其の声は千鶴さん!?」
海と空が同時に驚きの声をあげた。
海はぱっと飛び起きて、障子を開ける。
其処には、おぼんに湯呑みを二つ置いた千鶴が立っていた。
海「態々そんなことを・・・。御茶なら言ってくだされば」
空「そうですよ、千鶴さん!私達なら大丈夫だし!」
千鶴「いえいえ、どうぞ」
海と空は湯呑みを受け取った。
一口飲む。
そして同時に声を上げた。
海「美味い!」
空「美味しい!」
千鶴はその言葉を聴いて微笑む。
暫し、和やかな空気が漂っていた。