二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 背中合わせの志 ( No.44 )
日時: 2012/02/17 18:28
名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)

15話「海と鬼」


海「あれは・・・紛い物達と・・・誰だ?」

海は屯所の外から中を見ていた。
紅い眼、白髪、格好からいって、羅刹だということは分かった。
だが、手前で戦っている二人が分かっていない。
銃器を使った長髪の男と、手刀を用いて戦っている男。
不意に海に二人の男の名が浮かぶ。

海「まさか、不知火さんと天霧さんか?背格好的にも・・・」

眼を凝らして見る。
やはりそうだ、と海は思った。
そして思った事を、純粋に呟いた。

海「同派だったら是非共に戦いたいものよ・・・」

海は千姫に忠実でありながらも、風間も尊敬している。
もし千姫直属で無い鬼だったなら、海は間違いなく風間のところへ行っただろう。

海「状況確認は終わった。急いで戻らねば」

名残惜しそうに前を見つめながら、風となっていった。
その風は、ひゅうっと不知火や天霧、羅刹達の頬をかすった。

—————

空「千姫様、お願いします!」

空は千姫の元で懇願していた。
だが千姫は、空の大雑把な説明のせいで、思考を張巡らせている最中だ。
そして、ぽんとまとまりが付くと、空に向かって言う。

千「つまり・・・、千鶴ちゃんの居る新選組の屯所に風間達が来たって訳ね?」
空「そういう事です!さすが千姫様!!」

空は千姫の答えに眼を輝かせた。
「いや、お前の説明が悪い」という海の突込みは今回は聞こえなかった。
海が隣に居たら、絶対に何らかの雷が空に落ちていただろう。
千姫は一呼吸付いてから、空に言う。

千「良いわ。許可を出しましょう」
空「ありがとぉ御座います、千姫様!!」

空は早口に、大声で千姫に礼を言うと、さっさと風になって消えた。
空が言ったのを見ると、後ろから君菊が出てきた。

君菊「宜しかったのですか?千姫様」
千「ええ。あの子達なら、本当に千鶴ちゃんを任せても平気そうだし・・・。まさか暴走なんかしないわよ」

君菊と千姫の視線が合う。
君菊は眼を伏せて微笑むと、言った。

君菊「そうですね」

—————

海「千鶴様!」

海は千鶴の部屋の前まで来ていた。
ばっと勢いよく障子を開けると、その部屋は蛻けの殻だった。
海は驚いた感情を隠しきれなかった。
そして溜息。

海「千鶴様・・・。何処へ出かけられたのでしょう」