二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 背中合わせの志 ( No.53 )
- 日時: 2012/03/03 16:51
- 名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)
21話「喧嘩する程仲が…?」
海の胸倉に、永倉の手がまだかかっていた。
海は先ほどまで大きな声を出していたが、徐々に呼吸を整える。
そして、自分より身長のでかい永倉を睨む。
その眼の威圧感に、永倉は後ずさろうとした。
静かに言う。
海「別にお前一人がやった等とは言わない。だが、忘れるな。お前ら【人間】のせいで、今の私達鬼の状況が生まれたのだ」
永「何だと!?全体的に俺等のせいにしてーのかよ!」
海「事実を言って何が悪い!」
永倉と海は睨み合った。
今にでも刀を抜きそうだ。
このいがみ合いを止めることも出来ず、隣でおろおろしていた空と千鶴。
千鶴が声を出す。
千鶴「止めて下さい、永倉さん、海さん!」
海・永「!」
二人共、力んでいた力を抜く。
一気に場の空気が緩んだ気がした。
それでも、永倉は手を放そうとはしていない。
海「さっさとその手を放せ。そして退け」
海が促す。
永倉は、舌打ちをすると、さっと手を放した。
海は、握られていた着物をさっとはらう。
着物の袖口から、赤に染まりつつある晒が見えた。
傷口がまだ塞がっていないらしい。
そして、左之助や平助の方に行った永倉を軽蔑的に見てから、千鶴に一礼して去っていく。
千鶴「えっちょっと海さん…」
空「待ってよぉ、海」
空は海の背中をぱたぱたと追って行く。
部屋の中では、海が晒を巻き直していた。
傷口が痛々しい。
部屋に入ってきた空を確認すると、海が言う。
海「お前も…何時まで私の後を付いて来るんだ?少し位自分で判断して動いたらどうだ」
空「えっ」
海の言葉には棘があった。
空も驚いた様子だった。
空「どういう意味?」
海「其の侭だ。私の後ろばかり付いてくるな。自分の意思で動け」
空「何で?私、一人じゃなにも出来ないし…」
海「それを何とかしろ。うざったい」
海の言葉は、空の怒りを爆発させた。
空は余り怒ったりしないので、怒りの沸点は高い。
其の空を怒らせたのだ。
空「何よそれぇ!!私が足手まといみたいな言い方じゃん!もう嫌だ!絶交だからね!!」
海「勝手にしろ」
空は、ばん!と音を上げて障子を開いた。
そしてずんずん歩いていく。
その直後、千鶴が入ってきた。
千鶴「あの、どうかなさったんですか?空さんが凄い勢いで出て行ってしまいましたけど…」
海「千鶴様が心配なさる事ではありません。お気になさらず」
海はさらりと言った。