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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 背中合わせの志【参照500超感謝】 ( No.82 )
- 日時: 2012/04/05 16:49
- 名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)
36話「絆の裂け目」
空は部屋の中で、半涙目の状態で、手に持った文を部屋の入り口で
立ちすくんでいる海に突きつけた。
空「説明して!海っ!!」
海「……………」
海は唇をかみしめ、ただ黙っていた。その瞳だけは、空を見据えて。
空「どういう事?『千姫様の部下を辞め風間様につきたい』って、
どういう事よ!!答えてっ!」
海は顔をあげ、凛とした眼差しで空を見た。そして無表情に、また
静かに言い放った。
海「……事実、だ。」
空「っ!!」
その瞬間、いつもの二人なら決して起きない事が起こった。
海「ぐっ!ぅ…」
なんと、空が海を殴ったのだ。見た目は少女といえど身体は鬼。その
腕力は計り知れない。現に、海の頬は赤く腫れ始めている。
空「海の、馬鹿っ!」
海「…………。」
手に持っていた文を、文机に叩きつけて、空はその場から風と共に
消え失せてしまった。
海「い……………てぇ。」
ボソッと呟いて、文机を確かめる。どうやら、空が読んだのは一枚
だけのようだ。
海「空め、読まれたくないものだけを読みやがって。せめてこちらを
読めばいいものを。」
実は海の文は、一枚目が千姫への手紙。そして2・3枚目は別の者への
手紙だったのだ。
海「2・3枚目は…千鶴様に知られてはならないな。」
そう呟いて、自分で書いた2・3枚目の文を開く。その文の初めには、
こう書いてあった。
『拝啓 南雲薫 殿』と……
海「我ながら、撫様だな…」
海は空に殴られた右頬を撫でながら、自嘲気味に笑った。
辺りに、夜のとばりが、満ち始めた。
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