二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 背中合わせの志【参照500超感謝】 ( No.83 )
- 日時: 2012/04/05 19:30
- 名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)
37話「心、場所は違えども」
はぁ、と誰も居ない部屋で溜息を付く。
海はさっさと殴られた部位に湿布を貼った。
幸い、酷く腫れずにすみそうだ。
空に言われた事も、あまり気にしていない素振だった。
海「こんなにくしゃくしゃにして…あいつは。置いておいた私にも非は有るが…」
くしゃくしゃにされた文紙を、そっと伸ばす。
跡は直らないが、何とかなりそうだ。
海「さて、もう少し書かなければならないものが…。紙を出さねば」
文机の引き出しを開けて、紙を取ろうとする。
が、引き出しに入れた手は、何も掴まない。
訝しげに引き出しの中を確認すると、そこには、紙が無かった。
本当ならば、後5枚程入っている。
海は、空に見られた時の事を思い出す。
海「あいつ、あの時に引き出しを開けて紙を千切ったのか…」
空のくせによくやるな、と関心しつつも大きく溜息をつく。
そして、真上に上がった月を眺めた。
その日の月は、満月だった…。
———
空「海の馬鹿!!本当何考えてるか分かんない!!能面みたいに表情動かないしさ!」
怒りすぎて、涙の峠は超えたようだ。
海とは全く違く、落ち着きや冷静さを欠いている。
顔は真赤だった。
ふるふる体を震わせながら歩いていた。
千鶴「あれ…空さん?」
隣を通り過ぎる千鶴にも気が付かず、ぶつぶつ言っていた。
千鶴は余り踏み込まないようにして、心配そうに空を見送ってから歩き始めた。
空「海の馬鹿…。なんでよりによって風間さん?意味分かんない」
空は溜息を付きながら空を拝む。
空の髪の毛は、夜風にあてられて流れた。
空「満月…綺麗だなぁ」
———
海「この文は千姫様に、この文は南雲薫様に、この文は…まだ送らなくて良いか」
海は、手紙の確認をしていた。
2通の文を、梟に持たせる。
そして、飛ばせた。
もう、後戻りは許されない———。
———
?「何この梟…。文が付いてる…」
とある森の中。
和装をした男が居た。
顔立ちは女らしく、雪村千鶴と瓜二つだった。
その男の名は、南雲薫。
薫「嗚呼、成る程ね。黒里 海かぁ。くす…可愛い鬼」
薫はくくっと口端を上げて笑うと、梟から文を取った。
自分宛の文だと分かる文を一通だけ取る。
もう一通の文は、何も見ずに放って置く。
薫「これはきっと千姫さん宛てかな。見ないでおこう。さぁ、お行き」
梟を飛び立たせた。
梟は次の文宛者に向かって飛んでいく。
満月の真ん中に向かい羽ばたくように見える。
満月に、羽を広げ飛んでいく梟の姿がくっきりと映っていた。