二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 背中合わせの志【参照500超感謝】 ( No.86 )
日時: 2012/04/09 15:14
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

38話「届けられた想い」

夜。月は高く上り、輝いている。その月明かりのもと輝く、千姫の
屋敷があった。
君「あれは……梟?」
いつもなら見かけない鳥が、屋敷の上空を旋回している。よく見ると、
足に何かを巻き付けてあった。
君「足に何か…ハッ!!」
勢いをつけて、鬼の脚力で屋根に向かい跳躍する。君菊は静かに屋敷の
屋根に降り立った。
君「やはり文か。御苦労、さぁお帰り。」
梟から文を受け取り、腕から思い切り飛ばす。しかし梟は、腕から
離れはしたものの、主のもとへ帰ろうとしない。君菊の周りをずっと
大きく旋回しているだけだ。まるで、『自分には帰る場所がない』と
告げているようにも見えた。
君「何故……まさか。」
嫌な予感がして文を見る。宛先はもちろん千姫だ。そして差出人は
海だった。
君「海から…千姫様っ!」
君菊は嫌な予感を振り切るように屋根から飛び降り、屋敷の中へ走って
戻って行った。

所変わって、屋敷の中。千姫は自室で寝る準備をしていた。というか、
足はもう布団に入っている。
君「姫様!!」
千「もう何の用……どうしたの、お菊?」
君菊の様子で言いかけた文句を止め、訪ねた。無言で文が手渡される。
受け取ると、慣れた手つきで器用に封を切り、中身を読んだ。
千「これは……!!」
読み終えたとき、千の瞳は驚愕の色に染められていた。しかしすぐに、
鬼の姫らしく凛々しい表情になると、君菊に命じる。
千「君菊、すぐに海と空を此処へ!!」
君「はっ!」
頭を下げると、君菊はすぐに屯所へと向かい姿を消した。