二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 背中合わせの志【参照500超感謝】 ( No.90 )
- 日時: 2012/04/10 21:36
- 名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)
41話「本望」
薫「ははっ面白い事考えるなぁ。鬼の頭領の使いから外れようとするなんて」
海からの文を開けて読んでいた薫は、暢気に言う。
自分には関係のないような言い方だった。
まじまじと文を眺めつつ、口元はにたりと笑っていた。
薫「でもまぁ、これで海が風間についてくれたら、俺のやる事も少しは楽になるかな。
海には俺達の鬼の世がかかってると言っても良い位だ。風間達も聞いたら喜ぶんじゃないかな」
文は二枚に重なっていて、一枚目は千姫の使いから外れたいと言う報告だった。
薫は二枚目を読もうと捲る。
そして、さっと眼を通した。
すると薫は、ほっとしたように笑みを浮かべる。
薫「良かった。千鶴は元気そうだね」
しかし…と言いながら薫が文机の引き出しを開ける。
その引き出しの中には、文が大量に入っていた。
全て、海から薫宛だった。
薫「しかしよくやるよ。千姫に仕えながら、幼い頃からこんなに情報の詰まった文を遣してくれるなんて。
海は昔から黒い鬼だ、まったく…。海自身が望んでやってくれてる事なんて知ったら、千姫はどんな反応するだろう?」
くくっと、口端で笑った。
———
千「そろそろ良いかしら。お菊」
君菊「了解致しました」
千姫の合図に、君菊が頷く。
君菊は、海と空を呼びにいった。
不幸なのか幸いなのか、海と空は同室だった。
海と空は其々部屋の端に座り、話さずに居た。
海は背を向け刀の手入れをしている。
空はする事もなく座っていた。
こんこん、と扉を叩く音と同時に君菊が入ってくる。
君菊「千姫様がお呼びです」
海と空は同時に立ち上がった。
君菊の後ろを歩いていく。
千姫の居る部屋の前で立ち止まると、扉を開けて海と空を入れた。
海は千姫の前に行くと、正座をする。
空も、一応正座をした。
千「よく来たわね。では、本題に」
千は海と空をよく見た。
海は俯いていて表情は見えない。
が、空は千姫の顔をじっと見つめている。
千「じゃあ海…。貴女、文の件、どういうことかしら」
海「全て記載した通りです。私自身が望んでやっていること」
千「・・・・・!」
海の言葉には何の感情も無かった。
ただあったのは、刃のような鋭さだけだった。
海の言葉に、千姫は少し驚いた顔をしてみせた。