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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 背中合わせの志【参照600超感謝】 ( No.92 )
- 日時: 2012/04/11 17:46
- 名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)
42話「裏切り者」
千姫の屋敷の広間。そこには今、重い空気が張り詰めていた。
千「本望、という事かしら?」
海「はい。」
先程の海の発言に多少仰天していたものの、今その瞳は、いつも千鶴が
『お千ちゃん』などと気安く話しかけている少女の者ではない。
八百万の鬼達から、『千姫様』と敬い称えられる、鬼の姫。
千「それは、私達を裏切るという事かしら?」
海「千姫様がそう思うのなら、そうなるのでしょう。」
斬り殺されそうな言葉を、海は淡々と述べていく。
千「…貴方ほどの鬼が動けば、鬼の世は揺らぐわ。ねぇ海…」
海「もう、決めた事です。」
それ以上の言葉は許さないかのように、海が言い放つ。
空「何で……」
その時初めて、空が口を開いた。海を睨んで言いたい事を一気に話す。
空「何でよ!偽りだったの!?私や千鶴さんに向けた言葉も、視線も、
笑顔さえも全部!!!」
海「……あぁ、偽りさ。」
空「っ!」
海の瞳は、何も映していなかった。ただ、虚無の闇が広がっている。
空「もう…知らない!ウソつき!…裏切り者ォ!!」
千「空!?」
空はそのまま、屋敷を飛び出してしまった。君菊が慌てて追う。
海「…………裏切り、か。」
空に裏切り者だと言われた時、海の顔が微かに歪んだ事には、千も、
海本人も気付いていなかった。
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