二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 背中合わせの志【参照600超感謝】 ( No.95 )
- 日時: 2012/04/11 21:27
- 名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)
43話「偽りの顔」
千「海…」
海「最終的判断は私には出来ませんが」
走って行ってしまった空から視線を戻す。
海の眼には感情も篭らず、光さえも取り入れていない。
そんな眼を見せられ、ぴくっと体を震わせる。
海「今まで偽りで通した事はお詫び申し上げます。が、今回の件はどうしても…」
千「貴女は一度言い出すと聞かないものね」
海「して、どう御判断されますか?」
早く判断を下してほしいと言う様に、千姫の答えを促す。
千姫の眼には迷いが映っていた。
鬼の時代を変えても良いのか。
それとも手元に残し、鬼の世を安定させるのか。
千姫の頭の中に、様々な言葉が思い返される。
千「今回の件、了承…としましょう」
千姫は迷った結果、自分の手元から海を外すことにした。
海はさっと千姫に礼をする。
が、但し…と千姫が促す。
千「但し、定期報告を私に遣しなさい。風間の持つ情報全てとは言わないわ。
貴女の状況を毎月送ってほしいの」
海「私は別に構いませんが。それは、千姫様から完璧には開放されないという訳ですね?」
千「そうね。それでも良いのなら、風間の元へ行きなさい」
海「有難う御座います。今まで、有難う御座いました。千姫様。また何時か、お目にかかれる日があれば」
千「そうね。頑張りなさい」
海は立ち上がり、空の出て行った入り口まで歩く。
そして、最後に一瞬だけ、千姫の方を見た。
千姫は一瞬だけ見たと言う。
海が、自嘲気味に笑顔を作っていたということを。
———
海が千姫の下を離れ一番初めに来た場所。
それは風間の元では無く、薫の処だった。
改めて薫と海が対面する。
薫「どうだった?今までの偽りの何百年間は?」
海「正直疲れましたよ。色々と…ね」
苦笑紛れに海が答えた。
何時もの無表情ではなく、表情は柔らかくなっている。
その時と場合によって使い分けるようだ。
口元には、軽い笑みが浮んでいた。