二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【REBORN】夢想サ。【短編集】 ( No.31 )
- 日時: 2012/01/27 18:40
- 名前: 透子 ◆GRRPdDaVH. (ID: mwHMOji8)
- 参照: http://_____
ベル夢/切
—→たとえば。
たとえば、
あの日あの時あの場所で
私が気持ちを伝えていたら?
もっと素直になれてたら?
————なんて今更遅いんだ。
「かの、じょ?」
「そ。すんげーカワイイの。」
昼下がり、居間で微睡んでいた私とベルの会話。
「惚気かよ。」
「うっせ。」
そう言った私にお構いなくナイフが飛んできた。
それは手にした雑誌を細かく切り刻む。
嗚呼、読みかけだったのに。仕方なく別の雑誌に手を伸ばした。
「それって新入りの美人ちゃん?」
「ん。」
へぇー。
大して興味のない声を上げると王子様はご機嫌を斜めにした。
「うわ、何かうぜー。通りで男ができないもんだな。」
「いやいや。今それ関係ないし。」
この堕王子が。
軽く睨みつけてやるといつもみたいに"しししっ"て笑う。
てゆーか、何で彼女のことを私に言うのよ。
正直かなりどうでもいい。なんて口が裂けても言える筈もない。
しょうがなく、王子様の自慢話に付き合ってあげた。
「んでさ、そいつも寿司好きなんだって。」
「ふーん。」
だからどうでも良いってば。
ペラ、とページを一枚めくる。
平常心、平常心。
「お前ジャッポーネ出身じゃん?だから寿司作れよ。」
「あはは、無理。私寿司嫌いだから。」
"作れ"って命令ですか。本当アンタ何様よ。
しかも作ってって言われて作れるもんじゃないでしょ寿司って。
それに寿司が嫌いなのも嘘じゃない。
しーん。
それ以後無言の沈黙に包まれた。
チラ、とベルを見れば口をヘの字に紡いでしかめっ面。
そして溜め息を吐く。
「なんか今日のお前変。」
そんな事を呟いてさっさと部屋を出て行った。
散々言いたい放題言って身勝手なヤツだなオイ。
てかさ、変って、何が。別にいつも通りじゃない。
一体何が変だって………。
ぽたっ
頬を何かが伝ったと思えば手の上に落ちた。
嗚呼、これは涙だ。その後も容赦なく頬を濡らす。
それでもって小刻みに震える手。
「好きっ…だった、」
ベルが大好きだった。
入隊してからずっと。これでもかってくらいに。
たとえば、
私がもっと美人だったら?
もっと性格が良かったら?
気が合ってたら?
————ベルは私を好きになった?
だから、
(たとえば。)
なんて、今更遅いっつの。
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おつかれさまでした!