二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:    カタストロフィーは永遠に、   〈inzm〉 ( No.10 )
日時: 2012/01/16 18:15
名前: 天音 (ID: P/D0CuiW)

(4)






 「ただいまー!!」
「あ、おつかいご苦労だったな流戯。……と、いらっしゃいティアラ。」



小さな音と共に二人が降り立ったのは少し古ぼけてはいるものの綺麗に掃除されている見知った店内。

カウンターに紙袋を乗せ、椅子に座る流戯とティアラ。
二人に声をかけた奏始は二人の目の前に白いティーカップを置いた。
白い器の中で揺れる淡い桃色の液体がとても鮮やかに目に映る。


「あ、ティアラ。多分結祈に会いに来たんだろうけど今あいつ出かけてるからな?」



彼の言う通り。


店内に彼女、結祈の姿は無かった。




ちなみに。奏始の言う、結祈の“出かけてる”は









                   店番をサボった脱走である。












 「ったく。……その人使いの荒さはどうにかならないか?」

「……うるさいよ植物のくせに。仕方ないでしょ?僕は転送魔法使えないんだから。」



呆れる赤髪の少年、あっけらかんとしている藤色の髪の少女、結祈。
二人が立つのは大きな屋敷の前。





「わざわざ俺を呼び出しておいてこんなところまで送れって……。」
「はい、お小言は要らない。どうせ店に帰ったら奏始に怒られるんだから。」
「……お前また脱走してきたのか?」
「聞かなくても分かるでしょ?チューリップ君なら。」

へらへらと笑う結祈に呆れ顔の少年。

最早チューリップじゃないと否定することもしない。こんな嫌味など日常茶飯事、相手にしていたら日が暮れる。





「で、俺はここからどうすればいいんだよ。」








存在を忘れられたかのように綺麗に無視、放置されていった少年、『南雲晴矢』の呟きは屋敷の門をくぐっていく彼女には届かない。
別に待っていろとも言われていないためどうしようが彼の勝手だろう。
帰りたかったら帰ればいいだけの話。

文句を言うなら、めんどくさいのなら帰ればいい。




「しかたない……。」

しかし彼が居なくなると結祈は徒歩で帰る羽目になる。とてもではないが夢月夜行まではなかなか距離のある此処。
それを考えたのかどうかは定かではないものの彼は少女の後を追う。












大きな庭園にさいた色とりどりの花。



そしてたどり着いた玄関、付近におかれた『陽雷本部』と達筆で書かれた看板が肩に大きなおもりを乗せた気がした。